(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第7章 大腿骨転子部骨折の治療
7.5.骨接合術の合併症
7.5.骨接合術の合併症
■ Clinical Question 9
術中合併症
解説
術中合併症として多いのは,short femoral nail(Gammaタイプ)では,骨幹部骨折,骨折部の離開,ネイルのジャミング(ネイルの引っ掛かり)である.頻度は,骨幹部骨折約2%,骨折部の離開1.6〜13%,ネイルのジャミング1.6〜4.8%である.一方,sliding hip screw(CHSタイプ)固定時の骨幹部骨折は0.4〜0.5%である.
short femoral nail使用時,髄腔が狭い場合にはジャミングを起こす可能性があるので,術前にネイルと髄腔との適合性を正確に評価する必要がある.
short femoral nail使用時,髄腔が狭い場合にはジャミングを起こす可能性があるので,術前にネイルと髄腔との適合性を正確に評価する必要がある.
エビデンス
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術中骨折はshort femoral nail(Gammaネイル,IMHS,PFN)で有意に多い.short femoral nail:34/1,651(2%),SHS:6/1,686(0.3%)(F2F01127, EV level I-2). |
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術中骨折はGammaネイルで有意に多い(Gammaネイルで24/833,SHSで4/846).しかし,1997年と1998年の2論文では術中骨折はなかった(F1F01102, EV level I-2). |
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術中骨折はGammaネイルで有意に多い(Gammaネイルで19/1,056,SHSで4/1,066)(F1F00117, EV level I-2). |
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Gammaネイルで100例中11例に骨幹部骨折をきたした(F1F04504, EV level I-1). |
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Gammaネイル439例中,術中8例に骨幹部骨折をきたし,このうち2例は転位を生じたため,1例はlong Gammaネイル,1例はプレートと内固定材料を変更して固定した(F2F00052, EV level IV). |
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Gammaネイル191例中,術中合併症は転子下骨折1例,外側骨皮質骨折4例,ネイル挿入による骨片転位3例,ネイルのジャミング3例,ラグスクリューの位置不良3例で,全体の7.3%に生じた(F1J00803, EV level IV). |
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Gammaネイル75例中,術中合併症は外側骨皮質骨折3例(4%),ネイル挿入による骨片転位が10例(13%),ネイルのジャミングが3例(4%)に生じた(F2J00446, EV level IV). |
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Asiatic Gammaネイル124例中,手術時合併症はジャミング6例,横止めスクリューの失敗17例,大腿骨亀裂2例,骨折部の離開2例であった(F1J01253, EV level IV). |
文献