(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第7章 大腿骨転子部骨折の治療
7.2.外科的治療・保存的治療の適応
7.2.外科的治療・保存的治療の適応
■ Clinical Question 3
外科的治療・保存的治療の適応
推奨
【Grade A】
転位のある大腿骨転子部骨折は骨接合術を推奨する.
【Grade Ib】
転位のない大腿骨転子部骨折は保存的治療も可能であるが,骨接合術
を推奨する.
【Grade Ib】
転位のない大転子部のみの骨折では保存的治療を推奨する.
解説
骨接合術と保存的治療とで合併症・死亡率・癒合不全において差がないとするエビデンスはあるが,保存的治療は脚長不等につながる変形治癒の可能性が高く,手術可能な症例には骨接合術が望ましい.
サイエンティフィックステートメント
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転位のある転子部骨折では,変形治癒防止,入院期間の短縮,費用などの面から,骨接合術が行われるべきであるとする高いレベルのエビデンスがある(EV level I-2). |
エビデンス
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転位型の大腿骨転子部骨折では手術療法は,合併症・死亡率・癒合不全において保存療法と差はない.しかし,手術療法を行うことで変形なく治癒する可能性が高く,入院期間が短く,受傷時居住場所への復帰率が高い.保存療法群では,患者の活動性が低下する.手術的治療において,その医療費が手術料やインプラント代で高くなるが,保存的治療での長い入院期間や活動性が低下することで発生する介護費用で相殺される(F2F03887, EV level I-2). |
文献
1) | F2F03887 | Handoll HH, Parker MJ:Conservative versus operative treatment for hip fractures in adults. Cochrane Database Syst Rev 2008:CD000337 |