(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.8.occult fracture(不顕性骨折)の治療
6.8.occult fracture(不顕性骨折)の治療
■ Clinical Question 27
occult fracture(不顕性骨折)の治療
推奨
【Grade Ib】
骨接合術を推奨する.
解説
荷重歩行を行うと骨折部に転位を生じることがあるので,骨接合をするのが望ましい.ただし,長期安静を保ってもADLの低下する可能性がない若年症例では,保存的に加療しても良いが,その場合には注意深い経過観察が必要である.
認知症・神経疾患・精神疾患がない症例では,保存療法を行っている報告がある.
認知症・神経疾患・精神疾患のため安静保持が困難である場合には,転位を予防する目的で可及的早期に骨接合を行うことが望ましい.
認知症・神経疾患・精神疾患がない症例では,保存療法を行っている報告がある.
認知症・神経疾患・精神疾患のため安静保持が困難である場合には,転位を予防する目的で可及的早期に骨接合を行うことが望ましい.
エビデンス
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転位の少ない高齢者大腿骨頚部/転子部骨折25例(9例が不顕性頚部骨折)に入院の上,積極的な保存療法を行った結果,自力歩行再獲得率は95.5%,入院期間は平均13週であり,自宅から入院した症例の74%が自宅に退院した.死亡率は3ヵ月で0%,1年で5.3%であった(F2J00711, EV level IV). |
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大腿骨頚部不顕性骨折16例のうち,11例に保存療法を計画した(残りの5例は認知症・神経疾患・精神疾患の合併症があるため1例が人工骨頭置換術を,4例は骨接合術を施行した).入院後3週間床上安静を図り,約4週後より介助下に車椅子移動を始め,5〜6週より歩行訓練を開始した.その結果,1例はベッド上で排便時に股関節を外旋してから骨折線が明瞭になり,CCHSを施行したが,この1例を含め全例で骨癒合得られ,再骨折,AVN,LSCの続発はない(F2J00547,EV level IV). |
文献
1) | F2J00711 | 岡村洋,黒木秀尚,青木孝ほか:高齢者大腿骨頸部/転子部骨折に対する保存的治療の経験. 中四整外会誌2006;18:23-29 |
2) | F2J00547 | 杉山誠一,宮本敬,吉田実ほか:問題点の検討:大腿骨頸部不顕性骨折の治療. 整形外科2002;53:1581-1587 |