(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.6.人工骨頭置換術の合併症
6.6.人工骨頭置換術の合併症
■ Clinical Question 23
脱臼発生率
解説
脱臼発生率は2〜7%と報告されており,前方アプローチと比較して,後方アプローチで発生しやすい.
エビデンス
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前方(302例).後方(229例)アプローチでの比較.脱臼は後方(10例,4.4%)に多く(前方5例,1.7%)有意差をみとめた(F1F04435, EV level II-2). |
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平均80歳のセメント非使用Austin Moore骨頭置換術185例(全例後方進入)中,脱臼発生率は7%であった.12例中8例は1回の徒手整復で整復可能であった.4例は脱臼をくり返したため骨頭を除去した(F1F05055, EV level IV). |
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骨頭置換329例(セメント使用234例,セメント非使用95例)中,脱臼は3例(セメント使用1例,セメント非使用2例)で発生率は0.9%であった(F1J00459, EV level IV). |
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転位を伴った大腿骨頚部骨折患者,大腿骨頭壊死患者,骨軟部腫瘍患者,大腿骨近位偽関節患者,変形性股関節症患者,大腿骨近位骨折骨接合術や骨切り術失敗症例など1,812名に人工骨頭置換術を施行し,術後脱臼率を調査した.32例(1.8%)で脱臼が発生した.アプローチ別の脱臼発生率は前側方アプローチ1.5%(22/1,432),後側方アプローチ2.0%(5/245),側方アプローチ4.0%(5/125)であったが有意差はなかった.病名による脱臼発生率では明らかな違いはなかった(F2F01043, EV level IV). |
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大腿骨頚部骨折に対して前方アプローチと後方アプローチを用いて施行した人工骨頭置換手術385例における脱臼の発生率を検討した.脱臼・不安定性を認めたものは前方アプローチ群0%(0/186),後方アプローチ群4.5%(9/199)で,その差は統計学的に有意差であった(F2F03061, EV level IV). |
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大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術において前側方アプローチ(76例)および後側方アプローチ(64例)にて手術を施行し,術後脱臼について検討した.術後脱臼発生率は前側方アプローチ0%(0/76),後側方アプローチ7.8%(5/64)であった(F2J00097, EV level IV) |
文献