(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)

 
 
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.5.内固定材料抜去

■ Clinical Question 21
内固定材料抜去の適応

推奨

【Grade Id】
無症状の高齢者では,内固定材料は抜去しないことを推奨する.

【Grade Ib】
疼痛などにより内固定材料抜去の必要がある場合には,内固定材料抜去後に一定期間の免荷を推奨する.


解説

内固定材料抜去群と内固定材料非抜去群とを比較した研究はなく,内固定材料抜去の有用性は明らかでない.しかしながら,内固定材料を抜去しないことによる患者の不利益の報告はなく,無症状例での内固定材料は抜去の必要がない.


サイエンティフィックステートメント

dot 内固定材料抜去の必要性を論じた報告はない.


エビデンス

dot 大腿骨近位部骨折手術後,エックス線単純写真上骨癒合と判定し,内固定材料を抜去した54例を対象とした(Richard screw 31例,AO screw 23例,その他3例).30例は頚部骨折,24例は転子部骨折.内固定から抜釘までの期間は平均3.7年(0.8〜5.3年),抜釘後6週間免荷した.再骨折の有無を見た経過観察期間は内固定材料抜去から調査時まで,または死亡,転居,2度目の大腿骨近位部骨折までとし,平均5年であった.同側の骨折はなかった.11例に反対側の大腿骨近位部骨折がみられた.エックス線単純写真上で骨癒合した大腿骨頚部骨折で内固定材料の抜釘を正当化する特徴が認められたなら,抜釘しても同側再骨折の危険性が高まるわけではない(F1F05540, EV level IV).


文献

1) F1F05540 Wand JS:Risk of refracture after removing hip fixation. J Bone Joint Surg 1990;72-B:148-149



 

 
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