(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.4.骨接合術の合併症とその対処法
6.4.骨接合術の合併症とその対処法
■ Clinical Question 20
偽関節に対して人工骨頭置換術とTHAのどちらを選択するか
推奨
【Grade C】
若年で全身状態が良好な症例にはTHAを推奨する.
【Grade Ic】
全身状態が悪い症例や高齢で活動性が低い症例には人工骨頭置換術を推奨する.
解説
骨癒合が得られなかった場合のサルベージとして,人工骨頭置換術とTHAのどちらを選択すべきかを比較した文献はない.
二期的THAは一期的THAと同様の良好な成績が得られるが,二期的人工骨頭置換術は一期的人工骨頭置換術に比較して長期成績が劣る.したがってTHAを推奨する.しかしTHAは手術侵襲が大きいので,対象患者の全身状態が悪い場合や,期待される余命が短い場合には,人工骨頭置換術を推奨する.
二期的THAは一期的THAと同様の良好な成績が得られるが,二期的人工骨頭置換術は一期的人工骨頭置換術に比較して長期成績が劣る.したがってTHAを推奨する.しかしTHAは手術侵襲が大きいので,対象患者の全身状態が悪い場合や,期待される余命が短い場合には,人工骨頭置換術を推奨する.
サイエンティフィックステートメント
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骨接合失敗後に二期的にTHAを行った症例では,一期的人工骨頭置換術に比べて成績が良い,あるいは変形性股関節症に対して一期的に行ったTHAと同等の成績が得られるとする中等度レベルのエビデンスがある(EV level III-2, EV level IV). |
エビデンス
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一期的人工骨頭例と骨接合術後のTHA例の比較検討.二期的THA群は一期的人工骨頭群に比し優れた長期成績を得た(F1F04059, EV level III-2). |
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骨接合後の不良例でのTHA施行例を股OAでのTHA施行例(対照群)と比較検討.骨接合後の不良例でのTHA施行例の年齢と性別を補正した成績不良の相対リスクは対照群の2.5倍であった.ただし,70歳以下の症例に限ると差は認めなかった(F1F05528, EV level IV). |
文献