(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.4.骨接合術の合併症とその対処法
6.4.骨接合術の合併症とその対処法
■ Clinical Question 19
偽関節に対して再骨接合術は適応となるか
推奨
【Grade C】
偽関節に対しては外反骨切り術を併用した再骨接合術を試みても良い.
解説
骨癒合が得られなかった場合に,人工骨頭置換術を選択するか,再骨接合術を選択するかを決定づけるまでのエビデンスはない.60歳以下の偽関節例での外反骨切り術による再骨接合術や腓骨移植を併用した骨接合術を行った報告がある.
サイエンティフィックステートメント
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転子間外反骨切り術を併用した骨接合術施行例の報告がある(EV level IV). |
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腓骨移植(血管柄付きもしくは遊離)を併用した骨接合術の報告がある(EV level IV). |
エビデンス
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60歳以下で骨癒合が得られなかった13例に転子間外反骨切り術を施行した.全例骨癒合するも2例に壊死を認めた(F1F02680, EV level IV). |
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偽関節に対する骨接合術(河野法)施行の3例(40,44,42歳)の検討.全例に骨癒合を得た(F1J01584, EV level IV). |
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大腿骨頚部骨折後の偽関節症例4例(平均年齢35.2歳)に対して近位大腿骨の外反骨切りを行い,骨切り部に圧迫力が加わるようにsliding hip screwを使用して固定した.4例すべてが8週で骨癒合した.術後合併症を認めなかった(F2F02573, EV level IV). |
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術前に骨頭壊死を認めていない大腿骨頚部骨折(陳旧例,偽関節例)4例(59,61,79,84歳)に対し,外反骨切り術を併用しCHSにて骨接合術を行った結果,全例骨癒合が得られ,骨頭壊死は発生しなかった(F2J00618, EV level IV). |
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大腿骨頚部骨折の骨接合術後偽関節症例22例(平均年齢28.7歳)に対して血管柄付き腓骨移植術を施行した.22例中21例に偽関節の治癒が得られた.大腿骨頭の骨壊死の進行を13例に認めたが,長期間大腿骨頭の良好な維持が得られていた(F2F02515,EV level IV). |
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放置された大腿骨頚部骨折236例(平均年齢36.5歳)に対しclosed reductionとキャンセラススクリュー,遊離腓骨移植を行った.148例に骨癒合が得られた.148例中,143例(96.6%)は経過良好であった.骨接合がうまくいくためには,骨頭が見えること,近位骨片の大きさがインプラントや骨移植を適切に行うために少なくとも2.5cm必要で,ギャップが2.5cm以下である必要がある(F2F01022, EV level IV). |
文献