(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.4.骨接合術の合併症とその対処法
6.4.骨接合術の合併症とその対処法
■ Clinical Question 16
偽関節の発生率
解説
偽関節の発生率は,骨折型によって異なる.非転位型(Garden stage I,II)の骨癒合率は85〜100%と報告されている.一方,転位型(Garden stage III,IV)では骨癒合率は60〜96%である.
エビデンス
![]() |
転位型235例で,sliding screw plate+海綿骨screw 1本の固定(SSP群)118例,2本のOlmed screw(OS群)117例の比較.偽関節はSSP群6.2%,OS群8.5%であった(F1F02574, EV level IV). |
![]() |
ハンソンピン使用の68例(Garden stage I 18例,II 11例,III 9例,IV 20例).6ヵ月以上の43例で評価した.術後再転位を2例に認めた.骨癒合は非転位100%,転位92%であった(F1J00081, EV level IV). |
![]() |
CHSで治療した160例(エックス線で6ヵ月以上観察した93例,壊死をMRIで評価した45例,エックス線で1年以上観察した81例)の検討.骨癒合率は,Garden stage I 100%,II 94.4%,III 96.8%,IV 88.9%であった(F1J00312, EV level IV). |
![]() |
DHS固定206例,3 parallel screw固定250例を非転位例,転位例に施行した.その結果失敗の割合(偽関節,骨頭壊死など)はDHSにおいて非転位型14%,転位型40%,3 parallel screwにおいて非転位15%,転位40%であった(F1F01945, EV level IV). |
![]() |
18の論文のmeta-analysisにおいて,50歳以下の564骨折,674例に骨接合術を行った結果,偽関節は50例/564例(8.9%)に発生しており(転位型骨折か非転位型かが判明している15の論文において)転位型骨折が非転位型よりも高率[23/382(6.0%) 対 1/118(0.9%);p =0.02]に発生していた(F2F01511, EV level II-3). |
![]() |
大腿骨頚部骨折に対する骨接合術76例77骨折(Hansson pin 22骨折,CCHS 55骨折)の成績不良例を検討した結果,骨癒合率は, Garden stage III 59%, stage IV 61%であった(F2J01107, EV level IV). |
![]() |
非転位型頚部骨折に対して内固定術を行った12文献のsystematic reviewでは平均年齢73.3歳の1,887例において再転位あるいは偽関節81例(4.3%)であった(F2F01001, EV level III-4). |
文献