(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.3.治療の選択
6.3.3.人工骨頭置換術の術式選択と後療法
6.3.治療の選択
6.3.3.人工骨頭置換術の術式選択と後療法
■ Clinical Question 15
人工骨頭置換術後は早期荷重を行うべきか
推奨
【Grade Ib】
セメント使用あるいは良好なプレスフィット固定ができたセメント非使用の人工骨頭置換術では早期全荷重を推奨する.
解説
セメント非使用人工骨頭置換術に関して早期荷重のほうが術後成績が優れているとするエビデンスはないが,早期に歩行できることは患者の利益であり,良好なプレスフィット固定ができた場合は早期荷重を推奨する(ここでいう早期荷重とは術後3日以内の全荷重である).
サイエンティフィックステートメント
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セメント使用人工骨頭置換術では術後早期(手術翌日)からの荷重開始が可能とするエビデンスがある(EV level III-2). |
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早期荷重によって歩行能力の維持,入院期間の短縮,医療費節減が可能とする中等度レベルのエビデンスがある(EV level II-2). |
エビデンス
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65歳以上の骨頭置換(セメント使用)した60例の検討.術後2週からの荷重群,術翌日に全荷重群(早期荷重群)で各群30例で比較した.早期荷重群は弛みはなく,歩行能力が維持でき,入院期間が短縮でき,医療費節減が可能であった(F1J00403, EV level III-2). |
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65歳以上で人工物置換(セメント使用)した170例の検討.術直後から無制限荷重を許可し1年以上観察した.2例に弛みを認め,うち1例に再置換術を行った(F1F03299, EV level II-2). |
文献