(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.3.治療の選択
6.3.3.人工骨頭置換術の術式選択と後療法
6.3.治療の選択
6.3.3.人工骨頭置換術の術式選択と後療法
■ Clinical Question 14
バイポーラーとユニポーラーの選択基準
推奨
【Grade B】
活動性の高い症例では,バイポーラーの使用を推奨する.
解説
活動性の低い症例では,ユニポーラーに比べてバイポーラー使用の優位性は明らかではない.なお,ここでいうユニポーラーとは,多くはThompson unipolar型についてのエビデンスであるので注意を要する.
サイエンティフィックステートメント
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79歳以下では,バイポーラー型は日常生活動作,疼痛,可動域が良好で,80歳以上ではバイポーラー型は疼痛にのみ有意差があるという高いレベルのエビデンスがある(EV level I-1). |
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80歳以上ではセメント使用のバイポーラー型とユニポーラー型との間に,機能,疼痛,跛行,満足度および術後1年での生存率に有意差がなかったという高いレベルのエビデンスがある(EV level I-1). |
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高齢の転位型大腿骨頚部骨折の治療において,バイポーラー型がユニポーラー型よりQOLおよび股関節機能を改善させることはなかったという高いレベルのエビデンスがある(EV level I-1, EV level I-2). |
エビデンス
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80歳以上の転位型250例で,全例セメント使用し術後1〜2日で荷重開始した. Thompson unipolar型132例,Monk bipolar型118例であった.80歳以上では unipolar型は短期間では良好であった.術後2年では,bipolar型は機能的に良好だが有意差は認めなかった.また疼痛,跛行,満足度に差はなかった.80歳以上ではunipolar型とbipolar型の間に,両機種間で機能的予後,1年での生存率に有意差はなかった.80歳以上ではbipolar型が不必要かは判断できない(F1F03252, EV level I-1). |
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転位型432例での検討.1群(65〜79歳)には内固定,Thompson unipolar型, Monk bipolar型の3種類で,2群(80歳以上)にはunipolar型,bipolar型で治療した.観察期間は6ヵ月の追跡であった.1群ではbipolar型が,unipolar型や内固定群に比べ日常生活動作,疼痛,可動域が良好であった.2群ではbipolar型が疼痛のみ優れていた(F1F03700, EV level I-1). |
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転位型大腿骨頚部骨折115例に対してランダムにbipolar型とunipolar型の手術を行い,その結果を検討した.両群間において出血量,輸血を要した患者数,在院日数,術後合併症に有意差はなく,またQOLや股関節機能に関しても有意差はなかった(F2F00987, EV level I-1). |
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7件の臨床試験(総患者数857名)の結果から,unipolar型人工骨頭置換術とbipolar型人工骨頭置換術との間には有意な差はなかった(F2F01131, EV level I-2). |
文献