(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.3.治療の選択
6.3.1.初期治療の選択
6.3.治療の選択
6.3.1.初期治療の選択
■ Clinical Question 8
非転位型骨折を保存的に治療して良いか
推奨
【Grade Id】
保存的治療では偽関節発生率が高いので,全身状態が手術に耐え得る症例に保存療法は行わない方が良い.
サイエンティフィックステートメント
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非転位型骨折に対して保存的治療を行い,14〜62%に偽関節を生じたとする低いレベルのエビデンスがある(EV level III-2, EV level IV). |
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非転位型骨折に対して外科的治療を行い,85〜100%に骨癒合が得られるとする低いレベルのエビデンスがある(EV level III-2, EV level IV). |
エビデンス
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impacted骨折170例に保存療法(疼痛が軽減するまで安静後に部分荷重し,8週で全荷重開始)を施行した.転位したのは24/167例(14%)で,転位の危険因子は全身状態不良と年齢(70歳以上)であった(F1F05211, EV level III-2). |
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36例中骨癒合は29例(80%)に得た.陥入骨折は保存療法の適応がある(F1J00761, EV level IV). |
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転位のない247例.手術は125例で,plateとscrewで固定し4日後から荷重を開始した.非手術は122例で約10日間牽引し,3ヵ月間部分荷重した.平均入院期間は手術例で17日,非手術例で23日であった.初期の転位は手術例にはなかったが,非手術例では20%に認めた(F1F03167, EV level III-2). |
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保存的治療を行ったGarden stage I大腿骨頚部骨折115例を調査した結果,二次転位率は41%であった(F2F01562, EV level IV). |
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保存的治療を行った嵌入型大腿骨頚部骨折105例を調査した結果,46%が二次転位をきたし手術を行っていた(F2F00564, EV level IV). |
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CHSで治療した160例(エックス線で6ヵ月以上観察した93例,壊死評価をMRI使用した45例,エックス線で1年以上観察した81例).骨癒合率は,Garden stage I 100%,II 94.4%,III 96.8%,IV 88.9%であった(F1J00312, EV level IV). |
文献