(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)

 
 
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.2.偽関節,骨頭壊死およびlate segmental collapse(LSC)発生の術前予測

■ Clinical Question 4
MRIで術前予測できるか

推奨

【Grade C】
術前造影MRIによって骨頭壊死の発生を予測できる可能性がある.


サイエンティフィックステートメント

dot 単純MRIで壊死発生予測が困難との低いレベルのエビデンスがある(EV level IV).
dot 術前造影MRIで壊死発生予測が可能との低いレベルのエビデンスがある(EV level III-2, EV level IV).


エビデンス

dot 受傷直後の15例にMRIを施行した.大腿骨頭のviabilityをMRIで判定することは困難であった(F1F05514, EV level IV).
dot 造影MRIが骨頭血流評価に有用か否かを検討した.頚部骨折後の骨頭血流の予測に有用であった(F1F01747, EV level III-2).
dot 14例に対し,術前の単純MRIで術後のLSCの有無を予測した.MRI正常12例中2例にLSCが発生した.術前単純MRIから術後LSCの予測は困難であった(F1J01227, EV level IV).
dot 骨折後24時間以内での脂肪抑制造影MRIを施行した.症例はGarden stage III,IVの12例であった.骨頭を含む近位骨片がエンハンスされない例(1型)はすべて,近位骨片の骨折端が帯状にエンハンスされた(2型)7例中4例に壊死が発生した.1型は絶対的,2型は相対的な骨頭置換を行うのが良い.骨頭置換の適応決定に有効である(F1J00297, EV level IV).
dot dynamic MRI(脂肪抑制造影MRI)所見を信号あり群と信号なし群の2つに分類し,(患側の信号上昇/健側の信号上昇)×100を信号上昇率とし,信号あり群を10〜100%にランク付けした.26骨折中信号上昇率60%以上の症例には骨頭壊死を認めなかった.dynamic MRIとGarden stageの骨頭壊死発症の予測能力の比較:感度はdynamic MRI 77.8%とGarden stage 44.4%であり,特異度はともに76.5%であった.dynamic MRIのほうがGarden stageよりも壊死発症予測能力に優れていた(F2J00080, EV level IV).


文献

1) F1F05514 Speer KP, Spritzer CE, Harrelson JM et al:Magnetic resonance imaging of the femoral head after acute intracapsular fracture of the femoral neck. J Bone Joint Surg 1990;72-A:98-103
2) F1F01747 Konishiike T, Makihata E, Tago H et al:Acute fracture of the neck of the femur. An assessment of perfusion of the head by dynamic MRI. J Bone Joint Surg 1999;81-B:596-599
3) F1J01227 湊 泉,小林良充,下田晴華:大腿骨頸部内側骨折における骨頭の治療前MRIとlate segmental collapse の関連性の検討. Hip Joint 1994:170-174
4) F1J00297 釜野雅行,本田良宣,塩川浩規ほか:大腿骨頸部内側骨折Garden stage III,IV骨接合術か人工骨頭置換術か. 整形外科2000;別冊:93-95
5) F2J00080 越智龍弥:大腿骨頸部骨折後の骨頭壊死発生予測について. Hip Joint 2006;32:202-207



 

 
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