(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第5章 大腿骨頚部/転子部骨折の診断
■ Clinical Question 1
大腿骨頚部/転子部骨折はエックス線単純写真で診断できるか
解説
多くの骨折はエックス線単純写真で診断できるが,骨折線が認められなくても骨折がないと断定はできない.
サイエンティフィックステートメント
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大腿骨頚部/転子部骨折のエックス線単純写真による正診率は98.1%,96.7%である.(EV level C-Ib,EV level C-II). |
エビデンス
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大腿骨頚部/転子部骨折が疑われる693例の高齢者のうち,エックス線単純写真で正常と判断された43例中,99mTc骨シンチグラフィーで正常であった30例は骨折がなかった.骨シンチグラフィーで異常があった13例中,10例はsubcapital fracture,2例は転子部骨折,1例は恥骨上枝の骨折であった.すなわち,初期のエックス線単純写真の正診率は680/693で98.1%(F1F06414, EV level C-II). |
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大腿骨頚部骨折が疑われて入院した2,617例の患者のうち,エックス線単純写真で正常あるいはあいまいな213人に,骨シンチグラフィーを行い,正常骨シンチグラフィーが127例(60%),残り86例中,82例(38%)が近位大腿骨骨折,3例が恥骨枝骨折,1例が臼蓋骨折であった.すなわち,エックス線単純写真の正診率は2,531/2,617で96.7%(F1F05110, EV level C-Ib). |
文献