(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)

 
 
第4章 大腿骨頚部/転子部骨折の予防

■ Clinical Question 3
ヒッププロテクターは予防に有効か

推奨

【Grade A】
ヒッププロテクターは介護施設高齢者の大腿骨頚部/転子部骨折予防に有効である.


解説

ヒッププロテクターの有効性に関するsystematic reviewによれば,大腿骨頚部/転子部骨折は,老人ホームではRR 0.77と有意に減少し,看護師配置の介護施設に限るとRR 0.40と有効性はより高くなるとされているが,在宅高齢者においては無効であることも明らかになった.また,不快感や使いにくさのためコンプライアンスが低い点も依然として問題点である.

サイエンティフィックステートメント

dot ヒッププロテクターは,大腿骨頚部/転子部骨折のリスクの高い介護施設高齢者の大腿骨頚部/転子部骨折を減少させるという,高いレベルのエビデンスがあるが,在宅高齢者では有効性は認められない(EV level I-2).

エビデンス

dot 完全なRCTによって得られたヒッププロテクターの大腿骨頚部/転子部骨折への効果に対する現時点でのエビデンスのsystematic reviewを行い,14のRCT(老人施設居住者中心の11試験,一般在宅高齢者中心の3試験)を解析したところ,老人施設居住者においては大腿骨頚部/転子部骨折の相対リスク0.77(95%CI 0.62〜0.97)と有効性があった.しかし個人ごとに無作為化した試験のみでは有効性ははっきりしなかった.また,クラスターごとに無作為化した試験内では結果のばらつきがみられた.一般在宅高齢者については結果のばらつきはなく,大腿骨頚部/転子部骨折の有意な減少は認めない(F2F00701, EV level I-2).
dot 有料老人ホームなどの介護度が軽い者の入った試験を除き,看護師配置の介護施設の4試験に限定してBayesian解析したところ,ヒッププロテクターの使用により大腿骨頚部/転子部骨折のOR は0.40(95%CI 0.25〜0.61)となり,感度分析でも結果は安定していた.以上から,著者らは,ヒッププロテクターは老人ホームでの本骨折リスクを減らすと結論している(F2F02311, EV level I-2).

文献

1) F2F00701 Parker MJ, Gillespie WJ, Gillespie LD:Effectiveness of hip protectors for preventing hip fractures in elderly people:systematic review. BMJ 2006;332:571-574
2) F2F02311 Sawka AM, Boulos P, Beattie K et al:Hip protectors decrease hip fracture risk in elderly nursing home residents:a Bayesian meta-analysis. J Clin Epidemiol 2007;60:336-344



 

 
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