(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第3章 大腿骨頚部/転子部骨折の危険因子
3.1.骨に関連した危険因子
3.1.骨に関連した危険因子
■ Clinical Question 3
脆弱性骨折の既往は危険因子か
解説
【Grade A】
脆弱性骨折の既往は危険因子である.
サイエンティフィックステートメント
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脆弱性骨折の既往は大腿骨頚部/転子部骨折の重要な危険因子である(EV level R-I). |
エビデンス
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脆弱性骨折の病歴は,将来の骨折に対する重要な危険因子である.大腿骨近位部骨折や脊椎骨折の既往があると,大腿骨近位部骨折のリスクは2倍以上になる.このリスク増は,他の骨折でも存在し,前腕骨折既往でも1.9倍,上腕骨近位部骨折既往でも2.0倍である(F1F00274, EV level R-I). |
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既存骨折があると大腿骨近位部を含む新たな骨折のリスクが増加すると報告した多くの研究をmeta-analysisした結果,最も強い関連があったのは既存脊椎骨折と新たな脊椎骨折の間であった(女性では4倍).また,どの部位であっても既存骨折は新たな大腿骨近位部骨折リスクをおよそ2倍(1.5〜2.3倍)に増加する.どの部位の既存骨折も将来の骨折の重要な危険因子である(F1F10049, EV level R-I). |
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11のコホート研究のmeta-analysisで,骨折の既往はあらゆる骨折の発生リスク増加に関連し(相対危険1.86,95%CI 1.75〜1.98),骨粗鬆症骨折,大腿骨近位部骨折(相対危険1.85,95%CI 1.58〜2.17)でも相対危険は同様であった(F2F00729, EV level R-I). |
文献