(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第2章 大腿骨頚部/転子部骨折の疫学
■ Clinical Question 2
発生率の諸外国との比較
解説
わが国の発生率は北欧・米国に比べると約半分と低く,南欧・東南アジアとほぼ同様である.
わが国における発生率は増加を続けているが,北欧・北米では減少し始めた.
わが国における発生率は増加を続けているが,北欧・北米では減少し始めた.
エビデンス
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鳥取県の調査結果を諸外国と比較すると,わが国の発生率は北欧・米国に比べると低く,南欧とほぼ同様だった.すなわち,35歳以上の10万人年当たり年齢調整発生率は,ミネソタ州ロチェスター(米国)男147/女335,ストックホルム(スウェーデン)男155/女379,マルモ(スウェーデン)男173/女405,ダンディーとオックスフォード(英国)男97/女273,ピカルディ(フランス)男68/女161,シエナ(イタリア)男28/女128,香港(中国)男52/女136,クアラルンプール(マレーシア)男48/女72,ホナム(韓国)男28/女25,鳥取 男54/女155だった(F1F01581). |
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米国(National Hospital Discharge Survey)における1999年の発生率(男女)は1万人当たり65歳以上で85.2だった.年齢群別では,65〜74歳で24.3,75〜84歳で93.6,85歳以上で325.7だった(F1R00001). |
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米国(National Hospital Discharge Survey)における2005年の発生率(男女)は1万人当たり65歳以上で72.3だった.年齢群別では,65〜74歳で23.7,75〜84歳で82.1,85歳以上で225.2だった(F2F03889). |
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スウェーデン(ウスターゲートランド)における1996年の頚部骨折発生率は10万人当たり50歳以上の男性で220,女性で418であり,転子部骨折発生率は男性で170,女性で361だった(F1F00327). |
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シンガポールにおける1991〜1998年の年間発生率は10万人当たり50歳以上の男性で152,女性で402だった(F1F00842). |
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フィンランドにおける50歳以上の全国調査で,1997年までの年齢調整発生率は男女とも上昇したが,それ以後男女とも減少に転じた.10万人当たりの発生率は,女性では1997年494から2004年412,男性では1997年238から2004年223であった(F2F02242). |
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カナダ(オンタリオ)における50歳以上の調査で,10万人当たりの年齢調整発生率は,女性では2003年が266,2004年が257,2005年が242であり,男性では2003年が125,2004年が125,2005年が121であった(F2F03890). |
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スイス(ジュネーブ)における50歳以上の調査で,1991〜2000年の10年間で年齢調整発生率の変化を検討したところ,女性では年間1.4%と有意に減少していた.一方,男性では変化はなかった(F2F03903). |
文献