(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)

 
 
前文
1 ガイドラインの作成手順


1.4 エビデンス評価の課題,問題点

本ガイドライン作成にあたって,委員会ではいくつかの問題点が残されていることを認識している.まず本ガイドラインは主として手術治療を対象とするが,手術治療を介入としたRCTは研究を行うことが困難であり,その数が多くない点があげられる.さらに,日本人のエビデンスは少なく,日本の論文(日本語のみでなく英文を含めた日本で行われた研究結果)には,適切にランダム化がなされたRCTはごくわずかであった.したがって,エビデンスが日本の現状と一致しない場合が多くみられた.今後わが国で質の高い臨床研究が行われることがきわめて重要である.
またRCTのような高いエビデンスレベルを有する論文でも,対象者の病型や病態がさまざまなことがある.さらに論文の主たる研究デザインがRCTでも,クリニカルクエスチョンの内容に関しては必ずしもRCTになっていない場合があり,今回の改訂ではそれぞれのクリニカルクエスチョンに対する研究デザインに基づきエビデンスレベルを決めた.meta-analysisは,著者が不適切な論文を採用していたとしても追跡が困難で,必ずしも最高レベルのエビデンスとはいえない論文が混じっている可能性がある.したがって,限られたエビデンスや患者背景に基づいて作成した結果が,広範かつ絶対的なものと誤解される危険性があり,ガイドラインを臨床の場で用いる際には十分な注意が必要である.




 

 
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