(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン

 
第6章 大腿骨頚部骨折(いわゆる内側骨折)の治療

 


6.3 偽関節、骨頭壊死およびlate segmental collapse(LSC)発生の術前予測
6.3.1 エックス線単純写真で術前予測できるか

推 奨
【Grade B】
エックス線単純写真によるGarden stageで、偽関節・骨頭壊死発生の予測が可能である。

サイエンティフィックステートメント
非転位型と転位型の2群間では、偽関節および骨頭壊死は転位型に多いという、中等度レベルのエビデンスがある(EV level II、EV level IV)。(「第6章/6.2.2 外科的治療では骨接合術と人工物置換術とのいずれを選択するか」「第6章/6.5.2 骨頭壊死、late segmental collapseの発生率は」参照)

エビデンス
CHSにて治療した98例の検討。平均年齢72歳(19〜96)であった。平均観察期間15.1ヵ月(3〜96ヵ月)で、LSCの発生率は 4例(4.1%)でGarden III、IVで各2例であった。発見時期は平均28ヵ月(4〜39)で、4例中3例は術後30ヵ月以上で発生していた(FJ00118 , EV level IV)。
骨接合した110例の検討。術前のGarden stageで非転位型と転位型の2群間で壊死、偽関節の発生頻度の関係を調査した。偽関節はstage III、IVに有意に多いが、壊死は2群間で差は認めなかった(FF05359 , EV level II)。
転位群22例、非転位群7例に骨接合を施行した。X線像で術後9ヵ月間追跡した。両群とも、術後1ヵ月以内に転位を認めた。骨癒合を得たのは転位群15例、非転位群5例で、転位群では外反転位例に非転位群では後方転位例で骨癒合を得た。しかし、内反変形は転位群は11/15例に、非転位群は4/5例に認めた。また、著明な回旋変形を認めた2例に骨頭壊死を生じた。偽関節例は骨癒合例に比し、4 mm多く転位していたが、骨頭の回旋変形は差を認めなかった。荷重開始1ヵ月で最大に転位した症例は骨癒合を得られなかった(FF05056, EV level II)。

文 献
1) FJ00118 坂本和隆,常岡武久,西村行政ほか:大腿骨頸部内側骨折に対する骨接合術の治療成績.整外と災外 2001;50:1060-1063
2) FF05359 Eliasson P, Karrholm J, Hansson LI:Redisplacement of nailed femoral neck fractures. 4-year follow-up of 110 cases. Acta Orthop Scand 1990;61:12-15
3) FF05056 Ragnarsson JI, Karrholm J:Stability of femoral neck fracture. Roentgen stereophotogrammetry of 29 hook-pinned fractures. Acta Orthop Scand 1991;62:201-207

 

 
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