EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン
III 尿失禁診療ガイドライン |
2. 腹圧性尿失禁の治療
(4) 吸収剤、デバイス
漏れた尿を吸収するための種々の形態の吸収剤(パッドやおむつなど)は、尿失禁の管理に広く利用されている。技術的な進歩によって、吸収剤の使用に伴う皮膚障害は最近では大幅に軽減されている。また、吸収剤を一定期間使用する間に、排尿記録や、尿漏れを数値化するなど、排尿機能に関するデータが得られるという有用性がある。しかし、恒久的に吸収剤を使用していくことは患者に「尿の漏れる身体的欠陥の放置」という心理的負担やQOLの低下と行動範囲の限定を強いることも念頭におく必要がある。
吸収剤とはやや異なるものに、腟内に挿入して膀胱頸部を支えるペッサリー、外尿道口にあてがう蓋、尿道内に挿入する尿道栓などの「デバイス」がある。デバイスは尿の漏れる身体的状態を改善することのない点で吸収剤に似ているが、尿道を通って不随意的に尿が漏れるのを減らすことを意図している点で吸収剤と異なる。