EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン
III 尿失禁診療ガイドライン |
1. 診断
(1) 初期評価(一般医の評価)
3)身体的検査(必須検査)
<1> 腹部の触診と神経学的検査
腹部膨満や肥満、手術瘢痕の有無を確認する。腹部から外陰部にかけての触覚、温痛覚の観察、直腸指診による肛門括約筋のトーヌスと収縮の評価を行うことが望ましい。
<2> 腟診とストレステスト
病歴から腹圧性尿失禁が疑われる場合は、尿の溜まった状態での腟診が重要である。咳、いきみに同期して尿が流出するか(ストレステスト)、尿道の過可動性があるかを観察する。尿失禁が誘発できない場合は、膀胱に生理食塩水を注入して膀胱容量を増加させたり、砕石位だけでなく立位で繰り返すことも有用である5)。咳から一拍遅れて尿が流出する時は、咳で膀胱の無抑制収縮の誘発された切迫性尿失禁である可能性があり、注意を要する。骨盤底の弛緩を総合的に診療するため、性器脱(膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱)や腟壁周囲の筋肉のトーヌスを評価し、萎縮性腟炎や膀胱腟瘻、尿道憩室などの有無も確認する。