EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン

 
III 尿失禁診療ガイドライン
女性尿失禁診療ガイドライン

1. 診断
(1) 初期評価(一般医の評価)

2)症状の定量化とQOL

<1> 排尿日誌(Bladder Diary、「尿失禁の基礎知識」、図5)(必須検査)
尿量を測定できるコップを渡し、日常生活の中で最低24 時間(できれば数日〜1週間)にわたって、毎回の排尿時間と排尿量、尿失禁の回数、パッド類の枚数、およびその他の出来事を患者に記載させるものである。これにより昼間・夜間の排尿回数や一回排尿量、尿失禁の頻度と重症度が比較的容易に把握できる1,2)

<2> パッドテスト(オプション検査)
尿失禁の重症度の客観的な目安となる。500mLの水を飲ませた後に、おもに腹圧性尿失禁を誘発する動作を1時間行わせ、前後のパッド重量の差で失禁量を求める1時間パッドテスト(図1)、日常生活の中で24時間の失禁量を求める24時間パッドテストが行われる。1時間パッドテストは24時間パッドテストより偽陰性が多いと報告されており3)、その欠点を補うために一定容量を膀胱内に注入して行うことも勧められている4)

           年                   月               

 
 
 
0分開始  午前 ・ 午後   時   分
  パッド装着 500mLの水を15分以内で飲み終える
イスまたはベッド上で安静
    
15分 歩行を30分間続ける
  
45分 階段の昇り降り  1階分1回
  イスに座る、立ち上がる10回
  強く咳込む10回
  1カ所を走り回る1分間
  床上の物を腰をかがめて拾う動作をする5回
  流水で手を洗う1分間
  
60分 終了 
 
開始前のパッドの重量A=   g
終了後のパッドの重量B=   g
失禁量A-B=   g
  
判定
2g以下尿禁制あり
2〜5g 軽度
5〜10g 中程度
10〜50g 高度
50g以上 極めて高度
図1 1時間パッドテスト


<3> QOLの評価(必須検査)
尿失禁のQOLに対する影響は、重症度が同等であっても、その人の価値観やライフスタイルによって大きく異なり、治療の必要性や選択肢を左右する。良性疾患である尿失禁の治療はQOLの改善を目的としたものであるので、QOLに対する影響を正確に評価することは重要であり、現在、QOL評価を含めた国際尿失禁スコアが検討されている(「尿失禁の基礎知識」、図6)。
 
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