EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン

 
III 尿失禁診療ガイドライン
高齢者尿失禁ガイドライン

3. 治療
(1) 下部尿路リハビリテーション

2) 膀胱訓練(Bladder training)

切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、混合性(切迫性+腹圧性)尿失禁に有効である。(証拠の強度 : A)

膀胱の機能についての学習、尿意があってから排尿を我慢する練習と時間帯を決めて排尿する練習、訓練を持続させるための介護(看護)者の長期介入の3つの要素がある。認知機能障害のある患者や虚弱高齢者では難しい。
まず、患者の排尿状態に合わせて昼間2〜3時間ごとの排尿時間を設定する。夜間は施行しない。尿意を感じたとき、気を紛らしたりリラックスしたりして排尿を我慢し、排尿間隔を延ばすようにする。トレーニング期間は数カ月に及ぶこともあり、定期的に、再教育や励ましを行う必要がある。
Jarvisら(1981)は、27〜79歳の切迫性尿失禁のある女性60人を膀胱訓練群と口頭での指導のみの群に分け、訓練群では消失率が83.3%と有意に高かったと報告している12)。また、Jarvisら(1981)は17〜78歳の切迫性尿失禁のある女性50人を膀胱訓練群と薬剤(塩酸フラボキセート+塩酸イミプラミン)投与群に分け、膀胱訓練群の84%、薬剤投与群の56%が禁制となったと報告し、薬剤よりも有意に膀胱訓練が有効であったと報告している13)。Fantlら(1991)は、55歳以上の家庭にある高齢女性123人を膀胱訓練群とコントロール群に分け、膀胱訓練群で失禁回数が57%改善したと報告した14)。Wymanら(1997)は、尿失禁を有する高齢女性123人を膀胱訓練群とコントロール群にわけ、膀胱訓練によりQOLを改善できることを報告している15)
 
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