EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン
III 尿失禁診療ガイドライン |
2. 診断
(2) 評価
4) 重症度の判定
尿失禁に対する治療の有効性を決定するためには評価基準を定める必要があるが、現状では、標準的な評価方法は定まっていない。1990年以前に報告された論文では、尿失禁消失、改善、不変、悪化といった主観的な評価を行うものが多かったが、最近では、失禁回数と失禁量が用いられるようになってきた。認知機能障害、身体機能障害を有する高齢者において、1回の失禁量を計測することは極めて困難であり、1時間ごとに看護者が尿失禁の有無を確認する失禁回数の評価ですらもマンパワーの不足しているわが国では極めて施行が難しいのが現状である。
また、認知機能に障害がなければ、尿失禁の評価には自己記載方式の排尿・尿失禁記録やQOL質問表(IQOL、KHQ)などを利用すべきである。また、学問性の高い研究では、尿失禁の重症度判定のみでなく、尿流動態検査などを取り入れて評価を行う必要がある。現在、国際禁制学会(International Continence Society ; ICS)などで重症度判定の標準化が図られつつある。