EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン

 
III 尿失禁診療ガイドライン
高齢者尿失禁ガイドライン

2. 診断
(2) 評価

3) 精密検査
精密検査の目的として、以下のものがあげられる。
尿失禁の原因を確定するため
膀胱出口の閉塞、排尿筋収縮力の低下、尿道の過可動性、内括約筋不全など、まったく治療法の異なる疾患を見いだすため
下部尿路に影響を与えるような神経学的、解剖学的異常を見いだすため
適切な治療を選択するに必要な情報を得るため
治療成績に影響するリスクファクターを同定するため(研究目的)

原因を取り除いても尿失禁が改善あるいは消失しなければ、専門医による精密検査が必要である。
以下のクライテリアの1つでも満たせば、早急に精密検査が必要となる。しかし、高齢者では全身状態から検査を見合わせたり、患者が望まなかったりする場合も多い。
基本的評価では診断が確定せず(症状と所見が合わないなど)、治療方針が立たない場合
治療に患者が満足せず、他の治療に関心がある場合
外科的治療を考慮している場合、特に、前回の手術が失敗していたり、リスクが高い場合
感染がないにもかかわらず、血尿を認める場合
以下にあげるような病的な状態を認める場合
 ・症候性尿路感染症の再発を伴った尿失禁
 ・残尿感が持続する場合や50mL以上の残尿がある場合
 ・尿失禁治療や骨盤内臓器の癌に対する根治的手術の既往がある場合
 ・前立腺の腫大や左右非対称性、PSA上昇など前立腺癌を疑う場合
 ・脊髄神経病変が疑われる場合
精密検査には、尿流動態検査、内視鏡検査、レントゲン・超音波検査などの画像検査がある。これらの検査の施行・解釈には専門的な知識が必要である。
 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す