EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン

 
II 尿失禁の基礎知識
尿失禁の基礎知識

6. 治療における経済性

尿失禁治療に要する費用と手術を受けた場合の在院日数について、女性切迫性尿失禁における外来通院薬物治療、および女性腹圧性尿失禁において、骨盤底筋訓練法による通院治療、TVTスリング手術を受けた場合の治療費について自験例をあげて述べる。
切迫性尿失禁に対して、塩酸プロピベリンの投与を月1回の外来通院、院外処方で行っている55歳の女性の1カ月の医療費は基本料710円、院外処方料800円、薬代8,640円、調剤料800円の合計で10,950円であった。患者本人の負担額は3割負担で、3,285円であった。腹圧性尿失禁に対して、現在広く行われているTVTスリング手術を4日間入院して受けた、40歳女性の入院に要した医療費は、手術料173,000円を含めて384,000円であった。患者本人の負担額は3割負担で115,200円となった。腹圧性尿失禁に対する外科的治療に要する入院日数は2〜5日程度と考えられるが、TVTスリング手術については欧米では日帰り手術として行われており、わが国でも1泊入院を含むday surgeryとして行うことが可能である。骨盤底筋訓練法については、現在保険点数は未収載なため、外来通院で施行しても保険点数は加算されないので、再診料のみとなる。わが国で骨盤底筋訓練法の普及が欧米に比べて極めて遅れている原因の一端が、診療報酬が定められていないことに起因する可能性がある。
 
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