EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン
II 尿失禁の基礎知識 |
5. 治療
(3) 下部尿路リハビリテーション
下部尿路リハビリテーションの代表的なものは骨盤底筋訓練法であり、腹圧性尿失禁においては軽症例では30〜40%程度の消失率が報告されており10)、まず試みられるべき治療法である。バイオフィードバック療法の併用により、より治療成績が向上する。しかし、指導にはある程度のノウハウが必要なこと、専門的に指導できるコメディカルスタッフがいないこと、説明や訓練に時間を要し、診療報酬点数が未確定なことからわが国では下部尿路リハビリテーションの普及率は低い。種々のパンフレットの普及により骨盤底筋訓練法の認知度は高まったが、パンフレットを渡すのみの口頭による指導では有効性は期待できない。骨盤底電気刺激療法は、経皮的、経腟あるいは経肛門的に骨盤底筋の電気刺激を行うもので、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁の両者において有効性が報告されており、近年骨盤底磁気刺激療法についても同様の有効性が報告されている。