EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン

 
II 尿失禁の基礎知識
尿失禁の基礎知識

2. 病態
(2) 切迫性尿失禁 (図2)

正常では、蓄尿時においては膀胱が充満しても内圧の上昇はみられず、排尿の意志に伴い、膀胱排尿筋が収縮し排尿が起こる。他方、蓄尿時に急に強い尿意(尿意切迫感)を伴う不随意の膀胱排尿筋収縮が起こり、尿失禁が起こるものを切迫性尿失禁という。蓄尿期に起こる膀胱不随意収縮は、脳血管障害、パーキンソン病、多発性硬化症などの中枢神経疾患にもとづく膀胱機能障害(神経因性膀胱)によるものもあるが、明らかな神経疾患を伴わない場合も少なくない。神経因性膀胱以外の膀胱不随意収縮の原因としては、加齢や下部尿路閉塞(前立腺肥大症など)に伴う膀胱機能変化、尿路感染などがあるが、原因不明のものも少なくない。このような蓄尿期に膀胱不随意収縮が起こる状態を排尿筋過活動(Detrusor overactivity)という。
なお、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が合併することがあり、これを混合性尿失禁という。

図2 膀胱内圧測定 : 排尿筋過活動における膀胱不随意収縮
図2 膀胱内圧測定 : 排尿筋過活動における膀胱不随意収縮
膀胱内に生理食塩水を注入しながら膀胱内圧を測定する。本例は切迫性尿失禁症例で、蓄尿時の膀胱内圧測定において膀胱の不随意収縮がみられる。
 
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