「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」厚生科学研究補助金(21世紀型医療開拓推進研究事業:EBM分野)

 
II.危険因子
 
文献 Ev level 対象患者と研究施設 目的と方法 結 果
Deane JS, Hall AB, Thompson JR, Rosenthal AR: Prevalence of lenticular abnormalities in a population-based study: Oxford Clinical Cataract Grading in the Melton Eye Study. Ophthalmic Epidemiol 4 (4): 195-206, 1997 IV眼疾患560例。55-74歳 イギリス Melton眼研究Oxford Clinical Cataract Classification and Grading System(OCCCGS)で評価された11病態の相対頻度を検討。
OCCCGSを用いてスリットランプでの段階評価 ロジスティック回帰分析
加齢で増加した状態 : 白色核散乱、褐色化、皮質性スポーク、前嚢下混濁、線維ひだ、水隙、核周囲の後方斑点。増加しない状態 : 後嚢下混濁、液胞、冠状薄片。女性に有意にみられたのは冠状薄片(p<0.001)、水隙(p<0.05) 。
Klein BE, Klein R, Lee KE: Incidence of age-related cataract: the Beaver Dam Eye Study. Arch Ophthalmol 116 (2): 219-225, 1998 II加齢性眼疾患の有病率調査対象4926例と追跡調査対象3684例 43-86歳ビーバーダム眼研究において核、皮質、後嚢下白内障の発生を検討する。
集団を基盤とした非公式人口調査による召集
1988-1990年に有病率、1993-1995年に追跡調査 スリットランプ写真による評価
カイ二乗、ロジスティック回帰分析、白内障型別進行度
右眼の核白内障累積発現率 : ベースライン時 43-54歳2.9% → 75歳以上 40.0%。 皮質白内障 : 1.9%→21.8%。後嚢下白内障 : 1.4%→7.3%。女性は男性よりも核白内障に罹患しやすい。
Leske MC, Chylack LT Jr, He Q, Wu SY, Schoenfeld E, Friend J, Wolfe J: Risk factors for nuclear opalescence in a longitudinal study. LSC Group. Longitudinal Study of Cataract. Am J Epidemiol 147 (1): 36-41, 1998 IV1989-1993の白内障縦断研究に参加した764例 ボストン追跡調査における核性混濁の危険因子を検討
4年間の追跡、ベースライン時と各追跡時の水晶体写真をLOCSIIIにより評価
MULCOX2(コックス回帰の延長)、相対危険度
核混濁相対危険度(RR) : 加齢(1.07)、白人種(2.94)、低教育(1.50)、痛風薬使用(2.32)、喫煙習慣(1.58)、白内障家族歴(1.39)、後嚢下混濁の既存(6.67)、眼鏡の早期着用(1.37)。
Jacques PF, Taylor A, Hankinson SE, Willett WC, Mahnken B, Lee Y, Vaid K, Lahav M: Long-term vitamin C supplement use and prevalence of early age-related lens opacities. Am J Clin Nutr 66 (4): 911-916, 1997 IV看護婦健康研究コホートの247名、年齢(56-71歳)、ビタミンC補助薬使用しない女性141例 ボストン地区加齢性白内障と白内障または糖尿病歴のない女性の10-12年にわたるビタミンC薬使用との関係を調査
LOCSIIで水晶体混濁を評価
オッズ比、95%信頼区間
10年以上のビタミンC使用(26例)は早期水晶体混濁の有病率をどの部位においても77%減少させた(OR0.23、95%CI、0.09,0.06)。中等混濁の有病率を83%減少した(OR0.17、95%CI、0.03,0.85)。ビタミンC使用10年未満(女性)は早期混濁発現の減少なし。
Hiller R, Sperduto RD, Podgor MJ, Wilson PW, Ferris FL 3rd, Colton T, D'Agostino RB, Roseman MJ, Stockman ME, Milton RC: Cigarette smoking and the risk of development of lens opacities. The Framingham studies. Arch Ophthalmol 115 (9): 1113-1118, 1997 IVフラミンガム心臓研究コホートの生存者2675例(最初の眼検査で水晶体混濁がなかった660例、52-80歳)喫煙と核型および非核型水晶体の混濁発現の関連性を調査
1973-1975年(フラミンガム眼研究I)、1986-1989(フラミンガム眼研究II)に、喫煙データ、年齢、性、教養、糖尿病と眼検査の結果を分析
ロジスティック回帰分析
核白内障と喫煙歴、喫煙量が正に相関(p<0.002)、20本/日以上は非喫煙者よりリスク増加(オッズ比2.84)。非核白内障ではリスクがない(オッズ比1.42)。
Phillips CI, Donnelly CA, Clayton RM, Cuthbert J: Skin disease and age-related cataract. Acta Derm Venereol 76 (4): 314-318, 1996 IV白内障1000例、同性で同年齢(年齢差5歳以内)の白内障のない1000例(対照)皮膚の状態とその治療について白内障患者と厳格に一致させたコントロールとの比較分析
核色調、白内障型
オッズ比
皮膚障害およびその治療と関連した69歳以上ではヒドロコルチゾン使用との関連は有意にある。ヒドロコルチゾンは強力に白内障と関連している。
Phillips CI, Clayton RM, Cuthbert J, Qian W, Donnelly CA, Prescott RJ: Human cataract risk factors: significance of abstention from, and high consumption of, ethanol (U-curve) and non-significance of smoking. Ophthalmic Res 28 (4): 237-247, 1996 IV厳格に一致させた白内障990例と対照850例 英国、スコットランドエタノール消費と喫煙が危険因子となるか検討
アルコール消費量、喫煙
オッズ比 95%信頼区間
「たまに少量」と「たびたび少量」の摂取は「非摂取」と「まれに摂取」よりもリスクを低下させた。白内障有病率は摂取増加で上昇した。喫煙はリスク因子とはならない。
Tavani A, Negri E, La Vecchia C: Food and nutrient intake and risk of cataract. Ann Epidemiol 6 (1): 41-46, 1996 IV白内障摘出207例、腫瘍、眼、消化管疾患以外で来院した対照者706例白内障摘出との関係について
年齢、性別、教育、喫煙、肥満指数、糖尿病、34品目の食物、8種類の微量元素
オッズ比、95%信頼区間。ロジスティック重回帰分析。
リスクの有意な増加 : バター(OR 2.8)、総脂肪(OR 1.8)。塩(OR 2.4)は最高摂取群。オリーブ油以外の油(OR 1.6)。リスクの低下 : 肉、チーズ、アブラナ、トマト、コショウ、柑橘類、メロン、Ca、葉酸、ビタミンE。無関連 : レチノール、メチオニン、β-カロチン、ビタミンA、C、D。
Ninn-Pedersen K, Stenevi U: Cataract patients in a defined Swedish population 1986-90: VII Inpatient and outpatient standardised mortality ratios. Br J Ophthalmol 79 (12): 1115-1119, 1995 IV白内障手術を受けた5120例(1986-1990年) Lond Health Care District白内障手術は死亡リスク増加と関連するといわれるので患者コホートにおいて標準化死亡率を分析した。
入院、外来患者、性別、年齢75歳未満、75歳以上、心血管系疾患、悪性腫瘍、糖尿病。
時間依存性生存回帰分析による相対的死亡リスク。
入院患者は外来患者に比べて標準死亡率増加。若年患者と糖尿病患者も健常集団に比べて死亡率増加。若年者では心血管系が多い。
Glynn RJ, Christen WG, Manson JE, Bernheimer J, Hennekens CH: Body mass index. An independent predictor of cataract. Arch Ophthalmol 113 (9): 1131-1137, 1995 IV40-84歳、米国男性医師17764例体格指数(BMI)が白内障の独立した予測因子であるか検討する。
5年間追跡。自己報告、診療記録による白内障発現。
相対危険度、95%信頼区間。
5年間の追跡中に370例で白内障発現。比例ハザードモデルでBMIは白内障の危険度と強い関連があった。BMI 22-25未満、25-27.8、27.8以上で相対危険度(95%CI)は各々1.54(1.04-2.27)、1.46(0.98-2.20)および2.10(1.35-3.25)。BMIが高値だと、後嚢下および核硬化白内障の危険度と強い相関関係にある。白内障摘出術の危険度とも著しい関係がみられた。
Leske MC, Wu SY, Hyman L, Sperduto R, Underwood B, Chylack LT, Milton RC, Srivastava S, Ansari N: Biochemical factors in the lens opacities. Case-control study. The Lens Opacities Case-Control Study Group. Arch Ophthalmol 113 (9): 1113-1119, 1995 IV40-79歳、1380例水晶体混濁症例対照研究において栄養因子および他の危険因子の生化学的指標との関連を評価する。
年齢、混濁型、ビタミンE、セレニウム、アミノ酸,その他生化学的因子
オッズ比、95%信頼区間。ロジスティック回帰分析。
ビタミンE : 核混濁OR 0.44  A/G : 混合混濁OR 0.41 鉄 : 皮質混濁OR 0.43より高いと危険度低下。
尿酸値(混合混濁)が高い程危険度増加。グルタチオン還元酵素活性が混合型で2倍高い。アミノ酸では統一性があり、グリシン、アスパラギン酸に対するORは著しく減少。
Familial aggregation of lens opacities: the Framingham Eye Study and the Framingham Offspring Eye Study. Am J Epidemiol 140 (6): 555-564, 1994 IVフラミンガム眼研究1086例(50-74歳)、フラミンガム子孫眼研究(子供) 896例フラミンガム眼研究で対象となった症例で核、皮質、後嚢下白内障の家族的関連について
配偶者間、親子間、兄弟姉妹間、年齢、性別を調査。
ロジスティック回帰、オッズ比
兄弟姉妹のどのペアにおいても1人の子供が核混濁を有した場合、もう1人の子供の核混濁のオッズは3倍以上。後嚢下混濁も同じ。配偶者間、あるいは親子間で有意な関連ない。
Rosmini F, Stazi MA, Milton RC, Sperduto RD, Pasquini P, Maraini G: A dose-response effect between a sunlight index and age-related cataracts. Italian-American Cataract Study Group. Ann Epidemiol 4 (4): 266-270, 1994 IV 白内障1008例、対照469例。日光曝露量と加齢性白内障の危険度に関係があるか。イタリア・米国共同対照研究
イタリア・米国共同症例対照研究、日光曝露歴に対する14変数
ロジスティック回帰分析、相対比較
想定される交絡因子、また性と年齢を調査した。日光曝露指数と純型皮質白内障との間に有意な用量反応効果(p=0.01)存在。皮質核型以外の混合タイプにも用量反応関連がある。
Miglior S, Marighi PE, Musicco M, Balestreri C, Nicolosi A, Orzalesi N: Risk factors for cortical, nuclear, posterior subcapsular and mixed cataract: a case-control study. Ophthalmic Epidemiol 1 (2): 93-105, 1994 IV皮質、核、後嚢下および混合型白内障症例385例と対照215例(年齢40-75歳)皮質、核、後嚢下および混合型白内障の危険因子を症例対照研究により評価する。
行動変数、環境曝露、病歴、混濁度の評価をLOCS IIで行う。
多変量解析、オッズ比
皮質白内障には5年以上の糖尿病の存在(OR=3.7)、後嚢下白内障にはステロイド使用(OR=18.2)、糖尿病(OR=8.1)、核白内障にはカルシトニン(OR=5.7)、牛乳摂取(OR=0.25)、老人性白内障の発生に電解質の不均衡が関与。
Manson JE, Christen WG, Seddon JM, Glynn RJ, Hennekens CH: A prospective study of alcohol consumption and risk of cataract. Am J Prev Med 10 (3): 156-161, 1994 IV調査開始時に白内障のない40-84歳の米国男性医師22071例のうち判定基準を満たした17824例加齢性白内障の決定因子となるか大規模に調査
アルコール消費量、その他の危険因子の情報提供
相対危険度、95%信頼区間
371例が追跡中に白内障を発症(110例が手術)。アルコール毎日飲酒は1ヵ月1回未満に比較して相対危険度1.31(95%CI=1.81)。後嚢下型1.38(95%CI=0.84)。
 
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