「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」厚生科学研究補助金(21世紀型医療開拓推進研究事業:EBM分野)

 
II.危険因子
 
文献 Ev level 対象患者と研究施設 目的と方法 結 果
Chasan-Taber L, Willett WC, Seddon JM, Stampfer MJ, Rosner B, Colditz GA, Speizer FE, Hankinson SE: A prospective study of alcohol consumption and cataract extraction among U.S. women. Ann Epidemiol 10 (6): 347-353, 2000 IV女性看護婦77466例、45歳以上アルコール摂取は研究面で白内障の発生病理に関与していたので、アルコール摂取と白内障の関連をプロスペクティブに試験した
調査票により12年間追跡、白内障摘出とアルコール摂取
(多変化)相対リスク
非摂取群に比較してアルコール摂取(25g/日以上)しても白内障リスクは増加しない。これは糖尿病、喫煙、体格指標など補正しても同様であった。
Christen WG, Glynn RJ, Ajani UA, Schaumberg DA, Buring JE, Hennekens CH, Manson JE: Smoking cessation and risk of age-related cataract in men. JAMA 284 (6): 713-716, 2000 IV男性医師20907名禁煙と加齢性白内障の頻度の関係。
1982-1997年に行なわれた前向きコホート研究で平均追跡期は13.6年。診療記録による自己報告。視力が20/30またはそれ以下となった加齢性白内障および白内障手術、喫煙状態と禁煙後の年数との関係。無作為化している。
相対リスク(RR)95%信頼区間。
相対開始年齢と白内障の他の危険因子を補整後、現喫煙者と比較して、禁煙歴10年未満、10-20年、20年以上で相対リスクが0.79(95%CI 0.64-0.98)、0.73(95%CI 0.61-0.88)、0.74(95%CI 0.63-0.87)であった。非喫煙は、0.64(95%CI 0.54-0.76)。蓄積量に関係なく禁煙の有益性は示唆された。喫煙経験者のリスクの減少は総蓄積量が低いと思われた。
Derby L, Maier WC: Risk of cataract among users of intranasal corticosteroids. J Allergy Clin Immunol 105 (5): 912-916, 2000 IV70歳未満 286078例の鼻腔内コルチコステロイド使用者
イングランド、ウェールズの一般開業
経口コルチコイド使用者は白内障リスクが増加する。
鼻腔内投与のみ、経口投与のみ、いずれも投与されない群
相対危険度 95%信頼区間
ステロイド鼻腔投与、経口投与の白内障発生率
鼻腔コルチコステロイド使用者の白内障発生率10/1000人年(非使用者の頻度と同じ)。経口コルチコステロイドでは2.2/1000人年。鼻腔コルチコステロイドの70%がジプロピオン酸ベクロメノタゾンである。
Chasan-Taber L, Willett WC, Seddon JM, Stampfer MJ, Rosner B, Colditz GA, Hankinson SE: A prospective study of vitamin supplement intake and cataract extraction among U.S. women. Epidemiology 10 (6): 679-684, 1999 III47152例の看護婦(女性)のコホートと追加による、最終人数73956例(45歳以上)、うち老人性白内障による手術例1377例ビタミン補給剤の摂取と白内障摘出との関連をプロスペクティブに研究
12年間追跡、総合ビタミン剤、ビタミンC、EまたはAのみの使用
相対危険度、0.95%信頼区間(CI)
喫煙、体格指数、糖尿病などの白内障危険因子の補正後、10年以上ビタミンC使用者(相対危険度0.95)。非喫煙者、60歳以下のビタミンC長期使用者で関連があった。
Brown L, Rimm EB, Seddon JM, Giovannucci EL, Chasan-Taber L, Spiegelman D, Willett WC, Hankinson SE: A prospective study of carotenoid intake and risk of cataract extraction in US men. Am J Clin Nutr 70 (4): 517-524, 1999 IV45-75歳、保健専門職36644例、米国男性男性におけるカロチノイドおよびビタミンA摂取と白内障摘出との関係をプロスペクティブに調査
8年間追跡調査、詳細な食物アンケート
相対危険度、95%信頼区間(CI)
ルテイン、ゼアキサンチンを多く摂取する例で、白内障摘出の危険がやや少ない。しかし、他のカロチノイド(α-カロチン、β-カロチン、リコペン、β-クリプトサンチン)またはビタミンAでは危険の低下は認められなかった。ルテイン、ゼアサンチン摂取の多い上位5分位内では、下位5分位に比べて白内障のリスクが19%低い(相対危険0.81,95%CI0.65、1.01 P for trend 0.03)。ブロッコリー、ホウレン草はリスク低下に関与していた。
Chasan-Taber L, Willett WC, Seddon JM, Stampfer MJ, Rosner B, Colditz GA, Speizer FE, Hankinson SE: A prospective study of carotenoid and vitamin A intakes and risk of cataract extraction in US women. Am J Clin Nutr 70 (4): 509-516, 1999 IV45-71歳。看護婦77466例。うち白内障摘出術施行1471例。女性におけるカロチノイド、ビタミンA摂取と白内障摘出術との関連性をプロスペクティブに検討する。
12年間追跡。年齢、喫煙、他の潜在的白内障危険因子で調整
相対危険、95%信頼区間、多変量分析
ルテイン、ゼアキサンチンの高摂取例の白内障摘出術の危険性が低摂取より22%低下(相対危険0.78、95%CI :  0.63-0.95、p=0.04)した。カロチノイド、ビタミンA、レチノールは多変量分析で白内障との相関性はなかった。ホウレン草やケールなどのルテイン含量の多い食物を摂取すると白内障の危険が穏やかに低下する。
Lyle BJ, Mares-Perlman JA, Klein BE, Klein R, Greger JL: Antioxidant intake and risk of incident age-related nuclear cataracts in the Beaver Dam Eye Study. Am J Epidemiol 149 (9): 801-809, 1999 IV48-84歳 1354例 ビーバーダム研究(ウイスコンシン)抗酸化栄養素と核白内障発生の関連を調査 核混濁を水晶体写真により5点尺度で評価
95%信頼区間
ビタミンC、E摂取と核白内障発生とに有意な関連性は認められない。
ルテイン・ゼアキサンチン(カロチノイド)が核白内障と関連していた。
McCarty CA, Wood CA, Fu CL, Livingston PM, Mackersey S, Stanislavsky Y, Taylor HR: Schizophrenia, psychotropic medication, and cataract. Ophthalmology 106 (4): 683-687, 1999 IV地域精神医療サービスの151例、メルボルン視覚障害プロジェクトの無作為に選んだ9地域の住民 3271例(40歳以上) 地域精神医療サービス、メルボルン視覚障害プロジェクト精神分裂病患者と向精神薬治療歴のない一般人との白内障タイプの分布を比較し、種々の向精神薬使用者と非使用者の白内障発生率を症例対照研究で比較する。
最低12ヵ月以上のベンゾジアゼピン、フェノチアジン、チオキサンチン、ブチロフェノール、三環系抗うつ剤、モノアミンオキシターゼ阻害剤服用の有無。
カイ二乗、オッズ比
精神分裂症の有無により白内障のタイプの分布は特徴があった。前嚢下白内障が向精神薬治療歴のない症例に比較して精神分裂病者で有意に(カイ二乗、自由度605.5 p=0.001)多い。この有意差は年齢による調整でも認められた(オッズ比250、95%信頼区間83.3)。フェノチアジン群では皮質白内障のみ低値(p=0.047)
Garbe E, Suissa S, LeLorier J: Exposure to allopurinol and the risk of cataract extraction in elderly patients. Arch Ophthalmol 116 (12): 1652-1656, 1998 IV白内障摘出術施行3677例、年齢の一致した対照21867例(非白内障者)
ケベック
高齢者におけるアロプリノール摂取と白内障摘出術の危険性との関連性を検討
アロプリノール摂取者。年齢、性別、糖尿病、高血圧症、緑内障、経口ステロイド投与によって分析
オッズ比をロジスティック回帰分析から算出
400g以上のアロプリノール累積投与量または3年以上のアロプリノールの使用では白内障摘出の危険性が増加する。オッズ比は各々1.82(95%信頼区間1.18-2.80)と1.53(信頼区間1.12-2.08)
Klein BE, Klein R, Lee KE: Diabetes, cardiovascular disease, selected cardiovascular disease risk factors, and the 5-year incidence of age-related cataract and progression of lens opacities: the Beaver Dam Eye Study. Am J Ophthalmol 126 (6): 782-790, 1998 IVBeaver Dam Eye Studyコホートの3548人、43-84歳
Wisconsin Medical School
糖尿病、心血管系疾患、選択的心血管系疾患危険因子と加齢性白内障の累積発生率および水晶体混濁の悪化との関係を5年間にわたって検討した。
4.8年観察 水晶体写真による段階評価
相対危険度。カイ二乗。ロジスティック回帰分析
開始時の年齢は非糖尿病者において核、皮質、後嚢下混濁の発生率に相関を示した。年齢と白内障発生率は相関する(p<0.001)。年齢と白内障の正相関はより悪いほうの眼の核および皮質白内障に認められた(p<0.04)。皮質および後嚢下混濁は糖尿病患者にみられた(p<0.001)。糖化ヘモグロビン濃度は糖尿病者において核および皮質白内障の危険率増加と相関する。核硬化の悪化は共通にみられ、約70%の症例でどちらかの眼に認められた。
Teikari JM, Rautalahti M, Haukka J, Jarvinen P, Hartman AM, Virtamo J, Albanes D, Heinonen O: Incidence of cataract operations in Finnish male smokers unaffected by alpha tocopherol or beta carotene supplements. J Epidemiol Community Health 52 (7): 468-472, 1998 II50-69歳、男性喫煙者28934名を母集団
南西フィンランド
α-トコフェロールおよびβ-カロチン補給が加齢白内障摘出術の頻度におよぼす影響を検討する。
4 レジメンのいずれかに無作為に分りつけ (1)トコフェロール 50mg/日  (2)β-カロチン20mg/日 (3)α-トコフェロールとβ-カロチン (4)プラセボ
5-8年(平均5.7年)追跡した。
National hospital discharge registry より確認。相対リスク 95%信頼区間
425例が白内障手術を受けた。その中、(1)112例、(2)112例、(3)96例、(4)105例α-トコフェロール、β-カロチンの補給はともに白内障手術頻度に影響しない。
West SK, Duncan DD, Munoz B, Rubin GS, Fried LP, Bandeen-Roche K, Schein OD: Sunlight exposure and risk of lens opacities in a population-based study: the Salisbury Eye Evaluation project. JAMA 280 (8): 714-718, 1998 IV65-84歳の2520例(アフリカ系米国人 26.4%)
メリーランド州ソールズベリー
高齢者母集団においてUV-B曝露と水晶体混濁の関連性を検討する。
UV-B曝露により少なくとも片眼に写真上で3/16以上の皮質混濁
オッズ比95%信頼区間
UV-B曝露増加で皮質混濁のオッズは増大(オッズ比1.10、95%信頼区間1.02-1.20)。30歳以上の各年齢群の眼線量の分析で、傷害されやすい年齢群はなく、傷害は累積的曝露に基づく。
Hiller R, Podgor MJ, Sperduto RD, Nowroozi L, Wilson PW, D'Agostino RB, Colton T: A longitudinal study of body mass index and lens opacities. The Framingham Studies. Ophthalmology 105 (7): 1244-1250, 1998 IIフラミンガム心臓研究コホートの生存者で最初の眼検査時に水晶体混濁のない714例(52-80歳)。
フラミンガム眼研究I、II
身体質量指数(BMI)が水晶体混濁の危険因子であるかの検討
核、皮質、後嚢下混濁の発現。年齢、性、教育、糖尿病、喫煙で調整。
ロジスティック回帰分析。
BMIが大きいと皮質混濁リスク増大(p=0.002)。長期BMIの増大と後嚢下混濁の発生に関連性あり(p=0.002)。
Cekic O: Effect of cigarette smoking on copper, lead, and cadmium accumulation in human lens. Br J Ophthalmol 82 (2): 186-188, 1998 IV白内障37眼(54.7±5.4歳)。正常9眼(57.7±3.2歳)喫煙が危険因子であることを確認。白内障発生における銅、鉛、カドミウムの重要性を検討して元素間の関係を知ること。
原子吸収スペクトロメトリーによる水晶体内の銅、鉛、カドミウム濃度の測定
Student's t test
喫煙により水晶体の銅(p<0.005)、鉛(p<0.0005)、カドミウム(p<0.0005)は有意に増加。白内障水晶体ではカドミウムが銅と鉛との両方と正の相関を示した。
Leske MC, Chylack LT Jr, He Q, Wu SY, Schoenfeld E, Friend J, Wolfe J: Antioxidant vitamins and nuclear opacities: the longitudinal study of cataract. Ophthalmology 105 (5): 831-836, 1998 IV核混濁患者764例抗酸化栄養素と核混濁リスクの関連性についての評価
該当なし
コックス回帰モデルの拡大版(MULCOX2)。相対リスクと95%信頼区間
核混濁はマルチビタミン補給剤(RR(相対リスク)=0.69)やビタミンE剤常用(RR=0.43)。血漿ビタミンE濃度の高い(RR=0.58)症例で減少した。
 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す