「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」厚生科学研究補助金(21世紀型医療開拓推進研究事業:EBM分野)

 
I.分類・疫学
 
文献 Ev level 対象患者と研究施設 目的と方法 結 果
Klein BE, Klein R, Linton KL: Prevalence of age-related lens opacities in a population. The Beaver Dam Eye Study. Ophthalmology 99 (4): 546-552, 1992 IV43-84歳の成人(民間国勢調査により確認)4926名米国の地方自治体における水晶体混濁の有病率および重篤度評価
水晶体の写真を撮影し、標準プロトコールに基づき盲検様式で等級評価した。
核硬化は高齢群および女性においてより重篤なレベルが多かった。全体では17.3%に重篤度5段階尺度で3以上の核硬化がみられた。皮質混濁は加齢とともに増加し、女性に多かった。これらは母集団の16.3%にみられた。後嚢下混濁は母集団の6.0%にみられた。高齢者で有意に有病率が高い傾向があったが、性差は無かった。早期白内障頻度は男女とも65-74歳群で増加したが、75歳以上で減少した。晩期白内障頻度は加齢ともに増加した。女性は男性に比し重篤であった。
Chylack LT Jr, Wolfe JK, Singer DM, Leske MC, Bullimore MA, Bailey IL, Friend J, McCarthy D, Wu SY: The Lens Opacities Classification System III. The Longitudinal Study of Cataract Study Group. Arch Ophthalmol 111 (6): 831-836, 1993LOCSII白内障分類をより詳細にしたLOCSIII白内障分類の提唱
LOCSIII白内障分類はボストンの臨床白内障センターで行われた白内障の縦断的研究における白内障写真の中から基準写真を選定した。核の色調および混濁度は6段階、皮質および後嚢下は5段階の基準写真からなる。程度はいずれも10進法で0.1間隔で判定する。
LOCSIIにおける2.0の95%許容限界はLOCSIII分類では、核色調と混濁度が0.7、皮質が0.5、後嚢下が1.0まで減少させることができた。検者間の再現性はきわめて良好であった。
Magno BV, Datiles MB 3rd, Lasa SM: Senile cataract progression studies using the Lens Opacities Classification System II. Invest Ophthalmol Vis Sci 34 (6): 2138-2141, 1993白内障患者50名と正常対照者17名LOCSII分類を用いた白内障進行の検討
6ヵ月、12ヵ月の追跡調査
LOCSII白内障分類での評価
6ヵ月目での白内障進行率は核38%、皮質34%、後嚢下8%であった。改善は全病型で4%であった。ベースラインで初期核および後嚢下混濁のある場合、混濁がなかったものに比べ有意に進行した。
Sasaki K, Shibata T, Obazawa H, Fujiwara T, Kogure F, Obara Y, Itoi M, Katou K, Akiyama K, Okuyama S: Classification system for cataracts. Application by the Japanese Cooperative Cataract Epidemiology Study Group. Ophthalmic Res 22 (Suppl 1): 46-50, 1990日本白内障疫学研究班分類の提唱。 白内障は皮質、核、後嚢下混濁の3病型について分類した。混濁程度は程度I(初期)、程度II(中期)、程度III(後期)に分類した。皮質混濁は徹照像での混濁面積から、核混濁の程度は主に散乱光強度により判定した。後嚢下混濁は混濁の広がりによって判定した。判定補助の目的で、基準写真を作成した。核の着色をうすい黄色、黄色、うすい茶色、茶色、黒に分類した。判定結果記録用紙も併せて作成した。
Chylack LT Jr, Leske MC, McCarthy D, Khu P, Kashiwagi T, Sperduto R: Lens opacities classification system II (LOCS II). Arch Ophthalmol 107 (7): 991-997, 1989LOCSII白内障分類の提唱 本分類はカラー細隙灯顕微鏡写真と徹照写真により核、皮質、後嚢下白内障の程度分類を行う。核混濁および色調は4段階、皮質混濁は5段階、後嚢下混濁は4段階に分類する。LOCSII分類は、細隙灯顕微鏡と撮影写真の両者で判定が可能である。検者間の再現性は良好で、細隙灯顕微鏡判定と写真判定の一致率もほぼ満足できるものであった。
Sparrow JM, Ayliffe W, Bron AJ, Brown NP, Hill AR: Inter-observer and intra-observer variability of the Oxford clinical cataract classification and grading system. Int Ophthalmol 11 (3): 151-157, 1988白内障20眼Oxford白内障分類の再現性の評価。
Oxford白内障分類を用いて、4名の検者が判定した。
同一検者での再現性のκ値は0.68、2検者間での再現性のκ値は0.55であった。
佐々木洋, 浅野浩一, 小島正美, 坂本保夫, 春日孝文, 永田雅信, 高橋信夫, 佐々木一之, 小野雅司, 加藤信世: 奄美地区K島における眼疾患疫学調査:白内障と翼状片の有所見率. 日本眼科学会雑誌 103 (7): 556-563, 1999 IV町の広報による眼検診の呼びかけに応じた40歳以上の奄美諸島K島在住一般住民339例中、無および偽水晶体眼を有する症例、角膜混濁を有する症例を除いた301例602眼奄美諸島K島における白内障および翼状片の有病率を明らかにする
水晶体混濁、翼状片の有所見率。
水晶体混濁の有病率は40歳代、50歳代、60歳代、70歳代および80歳以上の症例で32.0%、54.0%、83.1%、96.9%および100%であった。Grade II以上の水晶体混濁は4.0%、12.7%、26.2%、60.0%および83.3%であった。白内障で最も多くみられた病型は皮質混濁(96.1%)であり、核混濁48.5%、後嚢下混濁14.7%の順であった。翼状片に関して25.4%の高い有病率がみられた。水晶体混濁の有病率は70歳代翼状片群で高値であったが、40歳代、50歳代、60歳代、および80歳以上の症例では翼状片群と非翼状片群間に有意な差は認められなかった。
藤沢来人, 佐々木一之, 柴田崇志: 白内障疫学調査における検者間診断一致率に関する検討. 日本眼科学会雑誌 95 (9): 873-877, 19912つの白内障診断基準,白内障疫学研究班分類、Lens Opacity Classification System (LOCSII)を白内障検診について検者間の診断一致に関して検討した。
日本白内障疫学研究班分類およびLOCSII白内障分類での水晶体混濁3病型の判定。
評価は一致率、κ値を以てあらわした。初回検診時における両者間の診断一致は研究班分類では一致率37.5%-83.3%、κ値は0.22-0.58であり、LOCSIIでは一致率は39.6%-68.8、κ値は0.18-0.29の間にあった。撮影画像を用いた模擬診断を含めた訓練後、同一検者により第2回目の検診を行った。両者間の診断一致率は、研究班分類では、一致率、κ値はそれぞれ70.1%-93.4%、κ値は0.42-0.50であり、LOCS IIでは、61.3%-94.2%、κ値は0.49-0.55の間にあった。
藤沢来人, ZeinuddinDjamhari, 小島正美他: 地域住人を対象とした白内障の疫学的調査(第2報). 日本眼科紀要 40 (4): 615-620, 1989 IV石川県志賀町在住の40歳以上の老人性白内障男性405例、女性1010例の1415例日本人地域住民における白内障疫学調査
問診のほか、水晶体の撮影記録を含む眼科一般検査が施行された。水晶体混濁の程度を3段階に分け、その有所見率をみた
初期の老人性変化までを含んだものの有所見率は、40歳代で29.1%、50歳代で52.8%、60歳代で68.9%、70歳代で81.8%、80歳以上で98.1%であった。進行した混濁は、40歳代で1.3%、50歳代で2.0%、60歳代17.4%、70歳代28.2%、80歳以上59.3%であった。この中で白内障が原因で視力0.6以下のものは、60歳代で6.3%、70歳代で18.8%、80歳以上で43.3%にみられた。混濁の形態は、皮質白内障が主で、皮質と核部、あるいは後嚢下との混合型がこれについだ。核部単独の混濁は少なかった。70歳以上の対象者の10%に、水晶体の混濁を示さないものがみられた。
佐々木洋: 人種、生活環境の異なる4地域での白内障疫学研究. 日本白内障学会誌 13: 13-20, 2001 IV石川県能登地区(892名)、鹿児島県奄美地区(314名)、アイスランド(1045名)、シンガポール(517名)の一般住民。人種、気象条件の異なる4地域での白内障有病率、病型の比較
水晶体混濁の評価は前眼部解析装置で撮影した徹照画像とスリット画像を解析し行った。統計解析はt検定、カイ二乗検定、Mantel-Haenszel検定を用いた。
グレード2以上の進行白内障の有所見率はシンガポールが最も高く、奄美、能登、アイスランドの順であった。50歳代では混濁の主病型は全地域皮質混濁であった。60歳以降ではシンガポール、奄美で核混濁の有所見率が能登、アイスランドに比べ有意に高かった。アイスランドでは70歳代でも主病型は初期皮質混濁であった。後嚢下混濁はシンガポールで最も多く、アイスランドでは少なかった。戸外生活時間は皮質混濁の発現と有意な関連がみられた。
West SK, Rosenthal F, Newland HS, Taylor HR: Use of photographic techniques to grade nuclear cataracts. Invest Ophthalmol Vis Sci 29 (1): 73-77, 198841眼2つの異なった撮影方法での核白内障の評価
水晶体の撮影にはTopcon SL-5DとTopcon SL-45 (Scheimpflug) cameraを用いた。白内障の程度は4つの基準写真をもとに判定した。デンシトメトリーによる解析も同時に行った。細隙灯顕微鏡による判定との比較も行った。
写真判定と細隙灯顕微鏡による判定結果の一致はほぼ良好であった。写真判定での検者間での一致率はきわめて良好であった(κ=0.71)。Topcon SL-5DとTopcon SL-45 による程度判定はよい相関があった。
 
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