(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 -H. pylori二次除菌保険適用対応-
第3部 胃潰瘍診療ガイドラインの作成と評価 |
4.医療経済的評価の解説
4)医療経済的評価における注意点
経済的評価を行う際には,「誰の立場に立って評価を行うのか」という問題が存在する。代表的なものとして,患者,医療供給者,保険支払者,政策決定者,社会全体等の立場があり,問題とする医療行為に応じて適切な立場で評価する必要がある。さらに費用の算出について,実際に医療を行うために要する直接費用に加えて,受診のために失う労働時間による生産損失等,いわゆる間接費用も分析に取り入れるべきかが問題となり,これも問題とする医療行為に応じて選択する必要がある。また費用や結果のすべてが,同一時点で発生するわけではないため,時期の違いを調整する必要があり,これを割引と呼び,費用あるいは結果についても適用される場合がある。その値は利子率等より年間1〜5%程度が一般的である。さらに,決断分析モデルなど統合的手法を用いる場合,モデルにおける不確実性を明確にし,感度分析を行う必要がある。