(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 -H. pylori二次除菌保険適用対応-

 
第3部 胃潰瘍診療ガイドラインの作成と評価

 
4.医療経済的評価の解説
3)評価方法の分類

上述の定義を満たす医療経済的評価法は結果の評価法の違いより次の4つに分類される。1 費用─最少化分析は医療行為の結果に差がないことが明らかな場合で,最少の費用となる案を求めることになる。2 費用─効果分析では医療行為の結果を臨床的に客観的に測定可能な単位で評価する(例:「生存年の延長」,「潰瘍の再発率」等)。結果そのものについての価値評価を行わないため,測定される結果には「何らかの価値がある」ことが前提となる。結果が客観的で測定が容易であるため,実際の分析では最も多く用いられる形式である。医療行為の結果を評価する場合,客観的な指標のみで十分ではない場合も存在する。たとえば「抗癌剤の副作用で苦しい思いをして長生きするより,多少生存期間が短くとも抗癌剤を使わずに副作用の苦しみのない方が良い」という場合もあり,このような場合,医療行為の結果は個人や社会の選好,価値観に基づいて主観的に評価されるべきであり,その指標を効用と呼ぶ。効用は健康状態(生活の質)を量的に表したもの(例:「生活の質を調整した生存年」等)とされ,結果の指標に効用値を用いる場合を3 費用─効用分析と呼ぶ。生活の質そのものの重要性は広く認識されているものの,効用測定の信頼性・妥当性については議論の余地が存在する。医療行為の結果を金額で評価する場合を4 費用─便益分析と呼ぶ。その手法として,生存期間を金額で換算する人的資本法や支払意志法等があるが,人間の平等という観点から問題が多く,その適用には慎重でなければならない。

 

 
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