(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 -H. pylori二次除菌保険適用対応-

 
第3部 胃潰瘍診療ガイドラインの作成と評価

 
1.EBMの解説とガイドライン作成過程
4)今後の方向性

今回の改訂ガイドラインは,書籍として出版されるだけでなく,財団法人日本医療機能評価機構の管理運営するMinds(Medical information network distribution service)にも搭載され一般に公開される予定である。今回の改訂においても,前回から指摘してきたNSAID潰瘍の予防や治療に対するわが国のエビデンスの構築や保険制度上の障害の解決は依然として不十分であるが,しかしNSAID潰瘍予防の保険適用のための臨床試験の準備やCOX-2選択的阻害薬の承認など新たな展開が始まっており,解決の方向に向かっていることは胃潰瘍診療ガイドラインの作成を契機とした問題解決のための努力が結実しつつあるといえよう。
また,これまでも胃潰瘍に限定したガイドラインではなく十二指腸潰瘍を含む消化性潰瘍全体に関わるガイドラインの作成について要望が多く寄せられていたが,厚生労働省の研究費の枠組みでそれを行うことは困難であった。しかし,日本消化器病学会がガイドライン作成委員会を立ち上げ,その一端として消化性潰瘍についても,EBMの手法に基づくガイドラインの作成が開始され,今回のガイドライン作成に加わった班員の多くも消化性潰瘍ガイドライン作成に関与することになっている。
今後は,今回改訂された胃潰瘍診療ガイドライン作成の基本的手法や精神を継承しながらも,厚生労働省の研究費に依存することなく,学会主導型で消化性潰瘍ガイドラインが作成,改訂されるシステムが整備されたことになるのはきわめて喜ばしい。学会ガイドラインの作成においては,消化器病学会会員だけでなく,市民参加による意見聴取を受けることも可能であり,厚生労働省のガイドラインに比べより柔軟な方式がとりうるという利点がある。また作成された学会ガイドラインは,学会ホームページに搭載して公開すること,市民公開講座などを利用して積極的に市民への啓蒙普及活動を行うことが予定されており,より幅広い展開が期待できる。

 

 
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