(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 -H. pylori二次除菌保険適用対応-
第2部 胃潰瘍診療ガイドライン―解説― |
4.H. pylori 除菌治療
4-4二次除菌
4)ステートメントの根拠
(1)論文の検索
東邦大学医学メディアセンターの山口直比古氏により,前回ガイドライン作成後の2002年以降の文献検索が行われた。PubMedと医学中央雑誌(医中誌)で行った。前回の検索式でかからない英語論文があり,拡大した検索も行った。また,それにも含まれない論文もあったので,分担研究者の森實敏夫教授に検索式を作成いただき,検索期間の制限なしで拡大検索2を行った。検索された文献数は以下の通りである。
PubMed | 40件 | |
拡大検索1 | 140件 | |
拡大検索2 | 100件 | |
医中誌 | 21件 |
二次除菌治療に関する文献検索の結果,PubMedで280件,医中誌で21件が検索され,うち,PubMedの19件を選別し,調査した結果,メタアナリシスの1件と,RCTの15件を採用した。3件はランダム化が封筒法のため,エビデンスレベルIIIとなり,採用としなかった。なお,二次除菌では,対象疾患を胃潰瘍に限定せず調査した。
(2)メタアナリシス
intention-to-treat(ITT)解析の除菌率と,有意差のあるものを不等号で以下に示す。4剤併用療法(76%),ラニチジンビスマス3剤療法(80%)>PPI3剤療法(70%),PPI2剤療法(46%)
4剤併用療法とラニチジンビスマス3剤療法が最適であるとの結果であった1)。
(3)ランダム化比較試験(RCT)
ITT解析の除菌率と,有意差のあるものを不等号で以下に示す。
1)3剤療法
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RBCを用いた方法 |
RBC/MT(86%)>RBC/AC(61%)2) | |
RBC/A/チニダゾール(85%)>PPI/AL(63%)3) | |
RBC/TM(83%)>OBTM(57%)4) | |
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PPIを用いた方法 |
PPI/AM(92%)=感受性検査に基づく3剤ないし高用量2剤療法(82%)5) | |
OAM(63%)=感受性に基づく除菌法(74%)>OAC(35%)6) | |
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レボフロキサシン(L)を用いた方法 |
PPI/AL(94%),PPI/チニダゾール/L(90%)>PPI/BMT(68%)7) | |
PPI/AL(70%)>OTMB(37%)8) | |
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その他の方法 |
PPI/A/リファブチン(87%)>PPI/BMT(67%)9) | |
BTF(86%)=OBTM(74%)10) |
OBAT(78%)>OBAM(58%)11)
OBMT(84%)>OBMC(59%)12)
PPI/BTM(83%)>PPI/AL(63%)3)
OBTM(77%)=Ran/BTM(76%)13)
PPI/RBC/A/チニダゾール(86%)=PPI/RBC/A/チニダゾール+Lactobacillus supplement(92%)14)
OBA/ニフラテル(89%)=OBAF(87%)15)
3)高用量2剤療法
高用量OA(76%)=OBTM(81%)16)
【略語】
PPI:プロトンポンプ阻害薬,O:オメプラゾール,RBC:ラニチジンビスマス,Ran:塩酸ラニチジン,A:アモキシシリン,L:レボフロキサシン,T:テトラサイクリン,M:メトロニダゾール,B:ビスマス,C:クラリスロマイシン,F:フラゾリドン