(旧版)科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン 5 疫学・予防 2005年版

 

Research Question 4
中心性肥満は乳癌の危険因子になるか

エビデンスグレード III    中心性肥満が乳癌の危険因子になるか否かの結論は不明である。


【背景・目的】

近年,乳癌と人体測定学変数(身長・体重・胴囲・臀囲など)との間に関連性があるか否かの研究が蓄積されてきた。欧米では多くの女性が肥満状態にあり,わが国においても肥満の女性が増えてきており,乳癌との関連性に関する研究は注目されている。「肥満」の定義の仕方は,体重,BMI(body mass index),胴囲,胴囲と臀囲の比(waist-hip ratio;WHR)などさまざまである。ここでは,体重と身長の比から計算されるBMIを採用せず,体幹の脂肪分布を示す内臓脂肪型肥満(中心性肥満)のWHRを「肥満」の指標として採用した。EBMの手法に従って中心性肥満と乳癌との間に関連性があるか否かを検討した。

【解説】

検索式を用いて該当するキーワードを入れてシステマティック・レビューを行った。この第1段階の検索で856件が選択された。第2段階として856件の論文について論文タイトルと抄録を読んで検討を加え30件に絞り込んだ。これらの論文を精読し肥満と乳癌の関係に直接言及していない論文7件が除かれ,第3段階の結果として23件が選択された。これら23件中,8件はBMIと乳癌あるいは体重増加と乳癌の関係を中心に論じられており15件は中心性肥満(すなわちWHRを指標とした肥満)と乳癌の関係に焦点が当てられていた。本RQは,中心性肥満と乳癌との関連性をテーマとしているため,後者の15件を最終的な対象論文とした。15件のうち,12件はWHRと乳癌との間に関連性がある1),2),3),4),5),6),7),8),9),10),11),12)とし,3件は関連性がない13),14),15)としていた。関連性があるとした12件を閉経の有無からみた場合,閉経前において関連性があるとしたのは3件1),2),3),閉経後において関連性があるとしたのは3件4),5),6)で,閉経の有無に関わらず関連性があるとしたのは6件7),8),9),10),11),12)であった。この関連性があるとした12件のうち,患者数が多い大規模な研究(患者1,000人以上)は3件あった。それらは,エビデンスレベルが2bであるものが1件(米国人でホルモン療法を受けた人かまたは現在受けている人においてWHRと乳癌の間に弱い関連性があるとした研究4)),3bが2件(カナダ人で閉経後に関連性があるとした研究5),中国人で閉経前に関連性があり閉経後は体重増加と関連性があるとした研究2))あった。他方,関連性がないとした3件のうち,2件はエビデンスレベルが2bでかつ大規模な研究(患者1,000人以上)であった。これらのうち,一つは米国人を対象とした研究で閉経後の「体重増加」は乳癌と関連性が認められたがWHRとは関連性が認められなかった13)とし,もう一つのスウェーデン人を対象にした研究ではWHRは乳癌との関連性がなく予測因子にはならない15)としていた(閉経の有無に関する分析はなし)。人種の観点からみると,上記の第3段階の結果としての23件の中に日本人を対象とした論文が1件あり,この研究はWHRではなく体重や体表面積などの指標を用いて乳癌との関連性を検討した研究で,結論として関連性は認められない16)としていた。日本人に近い体型(脂肪分布)と考えられる中国人を対象とした研究は上記のWHRとの関連性が認められるとした1件と閉経後に強い関連性があるとした研究(エビデンスレベル:3b,シンガポールの中国人)が1件あった。以上より,中心性肥満と乳癌の関連性はエビデンスレベル,研究デザイン,人種などの観点から検討を加えると,関連性を肯定した論文と否定した論文がほぼ拮抗しており,確定した結論には至らず依然として論争的である。したがって,現時点では中心性肥満は乳癌の危険因子になるか否かは不明とした。

【検索式・参考にした二次資料】

海外文献検索:MEDLINE(Dialog)1966-2004/04/30
S1  BREAST CANCER 151,383件
S2  OBESITY+WAIST+BODY FAT+BODY SIZE+ANTHROPOMETRY, etc 277,297件
S3  RISK+MORBIDITY+ETIOLOGY 2,106,481件
S4  S1×S2×S3 2,248件
S5  S4×HUMAN×LA=ENGLISH 1,742件
S6  S5×(SYSTEMATIC REVIEW+META-ANALYSIS+RCT+COHORT+PROSPECITIVE+CASE-CONTROL+LONGITUDINAL) 856件

海外文献該当856件より,論文タイトルと抄録で30件選択,原論文査読により23件の構造化抄録を作成,本RQに対応する中心性肥満と乳癌の関連性に言及している論文15件と日本人を対象にした論文1件の合計16件を下記に挙げた。国内文献該当15件(国内文献検索:医中誌Web 1983〜2004/04)には採択すべき論文はなかった。

【参考文献】

1) Muti P, Stanulla M, Micheli A, Krogh V, Freudenheim JL, Yang J, et al. Markers of insulin resistance and sex steroid hormone activity in relation to breast cancer risk:a prospective analysis of abdominal adiposity, sebum production, and hirsutism(Italy). Cancer Causes Control 2000;11(8):721-30.
2) Shu XO, Jin F, Dai Q, Shi JR, Potter JD, Brinton LA, et al. Association of body size and fat distribution with risk of breast cancer among Chinese women. Int J Cancer 2001;94(3):449-55.
3) Sonnenschein E, Toniolo P, Terry MB, Bruning PF, Kato I, Koenig KL, et al. Body fat distribution and obesity in pre-and postmenopausal breast cancer. Int J Epidemiol 1999;28(6):1026-31.
4) Huang Z, Willett WC, Colditz GA, Hunter DJ, Manson JE, Rosner B, et al. Waist circumference, waist:hip ratio, and risk of breast cancer in the Nurses' Health Study. Am J Epidemiol 1999;150(12):1316-24.
5) Friedenreich CM, Courneya KS, Bryant HE. Case-control study of anthropometric measures and breast cancer risk. Int J Cancer 2002;99(3):445-52.
6) Kaaks R, Van Noord PA, Den Tonkelaar I, Peeters PH, Riboli E, Grobbee DE. Breast-cancer incidence in relation to height, weight and body-fat distribution in the Dutch “DOM” cohort. Int J Cancer 1998;76(5):647-51.
7) Ng EH, Gao F, Ji CY, Ho GH, Soo KC. Risk factors for breast carcinoma in Singaporean Chinese women:the role of central obesity. Cancer 1997;80(4):725-31.
8) Yang G, Lu G, Jin F, Dai Q, Best R, Shu XO, et al. Population-based, case-control study of blood C-peptide level and breast cancer risk. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2001;10(11):1207-11.
9) Hall IJ, Newman B, Millikan RC, Moorman PG. Body size and breast cancer risk in black women and white women:the Carolina Breast Cancer Study. Am J Epidemiol 2000;151(8):754-64.
10) Mannisto S, Pietinen P, Pyy M, Palmgren J, Eskelinen M, Uusitupa M. Body-size indicators and risk of breast cancer according to menopause and estrogen-receptor status. Int J Cancer 1996;68(1):8-13.
11) Bruning PF, Bonfrer JM, Hart AA, van Noord PA, van der Hoeven H, Collette HJ, et al. Body measurements, estrogen availability and the risk of human breast cancer:a case-control study. Int J Cancer 1992;51(1):14-9.
12) Schapira DV, Kumar NB, Lyman GH, Cox CE. Abdominal obesity and breast cancer risk. Ann Intern Med 1990;112(3):182-6.
13) Morimoto LM, White E, Chen Z, Chlebowski RT, Hays J, Kuller L, et al. Obesity, body size, and risk of postmenopausal breast cancer:the Women' s Health Initiative(United States). Cancer Causes Control 2002;13(8):741-51.
14) Petrek JA, Peters M, Cirrincione C, Rhodes D, Bajorunas D. Is body fat topography a risk factor for breast cancer? Ann Intern Med 1993;118(5):356-62.
15) Lapidus L, Helgesson O, Merck C, Bjorntorp P. Adipose tissue distribution and female carcinomas. A 12-year follow-up of participants in the population study of women in Gothenburg, Sweden. Int J Obes 1988;12(4):361-8.
16) Kyogoku S, Hirohata T, Takeshita S, Hirota Y, Shigematsu T. Anthropometric indicators of breast cancer risk in Japanese women in Fukuoka. Jpn J Cancer Res 1990;81(8):731-7.


RQ4 中心性肥満は乳癌の危険因子になるか
アブストラクトテーブル
参考
文献
EV
レベル
目的 対象患者(数・人種) 介入
(曝露・case vs. control)
結果
1 3b インスリン耐性と血清性ステロイドのマーカーである胴部肥満・sebum産物・多毛症と乳癌の関連を検討すること。 イタリア北部Varese地区,乳癌コホート研究(ORDET study)に参加した女性10,786人(35〜69歳,癌の病歴およびホルモン治療歴のある者は除外)。
case-controlは年齢,閉経の有無,採血日,コホート参加地域,コホート参加期間を一致。WHRに関する分析,case:134人,control:530人。sebum産物に関する分析,case:131人,control:507人。多毛症に関する分析,case:130人,control:496人。
コホート内部におけるケースコントロール研究
閉経前女性について,WHR≦0.75に対する≧0.80の乳癌RR(年齢・BMI調整済み):2.2(95%CI:1.04-4.75,p=0.03)。この傾向は,やせの女性で顕著(RR:3.4, 95%CI:1.2-9.5)。
閉経後女性について,sebum production(43.3μgに対する)134μgの乳癌RR(年齢・BMI調整済み)=2.2(95%CI:1.1-4.6,p=0.01)。
閉経後女性について,hair-densityスコア≦1.1に対する≧5の乳癌RR(年齢・BMI調整済み):2.3(95%CI:1.1-4.9,p=0.03)。
2 3b 中国人において身体の大きさ,体重変化,体脂肪分布と乳癌のリスクとの関連性を検討すること。 症例群1,459人,対照群1,556人,中国人 ケースコントロール研究。中国の上海の女性を対象にした。訓練された面接官が人体測定を実施し質問により情報を集めた。 現在の体重とBMIは閉経前女性と関連していなかったが閉経後女性の乳癌と関連していた。若いときの体重よりも40歳以降体重や20歳以降の体重増加と閉経後女性の乳癌が関連していた。胴臀比は閉経前女性の乳癌のリスクを高めるが,閉経後女性の乳癌のリスクは高めない。
3 2b 閉経前女性,閉経女性の乳癌のリスクと人体測定学的因子の関連性を検討すること。 症例群109人(閉経前女性)と150人(閉経女性),対照群8,157人 前向きコホート研究。人体測定学的因子(体重,身長,胴囲臀囲比WHRなど)と乳癌のリスクとの関連性を検討した。 閉経前女性ではWHRが増えると乳癌リスクが増える。閉経女性ではWHRは関連性がなかった。
4 2b 乳癌のリスクと胴囲及び胴臀比(WHR)との関連性をプロスペクティブに検討した。 47,382人の登録があり,333,097人が追跡された間に1,037人が乳癌と診断された。 1986年に追跡が始まり50,828人の胴囲と臀囲が測定された。途中他の癌になった3,446人が除外された。人体測定学的情報や生理,運動量などの情報が質問票により集められた。 胴囲は閉経前女性は有意でないが閉経後女性は有意になり,ホルモン治療を受けていない人ではより強い関連性が見られた。既往と現在受けた人では関連性はなかった。閉経後において「過去にホルモン治療を受けた人と現在受けている人」の間ではWHRと乳癌との間には弱い関係がみられた。
5 3b 人体測定学的値と乳癌因子の関係を検討すること。 1,223人の症例群と1,241人の対照群,カナダ人 ケースコントロール研究で閉経前,閉経後の2群に分けて人体測定学的要因と乳癌リスク因子との関連性を検討した。 (1) 胴囲,(2) 胴臀比 (WHR),(3) 20歳後の体重増加,(4) 体重最大値と最小値の差,(5) 参照体重から最小体重を引いた値、のすべての因子が閉経前女性では有意でなかったが閉経後女性で有意となった。
6 2b 身長・体重・BMI,およびWHRに代表される脂肪分布と乳癌の関連を検討すること。 オランダ 11,663人を,閉経前(5,891人,患者147人),自然な経過による閉経(3,521人,患者76人),子宮もしくは卵巣摘出(2,068人,患者52人)の3群にグループ化して追跡。 乳癌スクリーニングに参加した女性を追跡調査
いずれの群でも,身長・体重・BMIと乳癌の関連はみられなかった。
自然な経過による閉経を迎えた群では,WHRと乳癌にpositiveな関連がみられた(WHR≦0.73に比較した>0.80の乳癌RR:2.63)。これは,身長と体重について調整しても変わることがなかった。
自然な経過による閉経を迎えた女性の中で,さらに追跡期間が7.1年以上の者(発症までの期間が長い者)ほど,WHRと乳癌の関連は強かった(WHR≦0.73に比較した>0.80の乳癌RR:3.94, 95%CI:0.90-17.2)。
7 3b 乳癌と関連する危険因子を検討した。 症例群204人,対照群882人
シンガポールの中国人
ケースコントロール研究。年齢,初潮,生理状態,経産回数,ホルモン療法歴,家族歴,体重,BMI,胴臀比(WHR)などと乳癌との関連性を検討した。 WHRは乳癌の最も強い危険因子であった。BMIは有意でなかった。
8 3b インスリン分泌のマーカーである血液中のCペプチドと乳癌の関連を検討すること。 上海のコホート参加者(25〜65歳)。case:1996〜1998年の間の新規乳癌患者143人(125人がステージI)。
control:一般住民を代表するようコホート内の健常群からランダムに抽出された143人。各年齢におけるcontrolの人数は,各年齢の乳癌罹患率(1990年〜93年上海癌登録データ)から計算。閉経状況により一致。
上海乳癌コホート参加者の中からcase-controlを抽出。
controlに比べて,乳癌患者における肥満(BMI≧23)のORは1.7(95%CI:1.0-2.7)であった。ほかに,第1子出産年齢と乳癌の間に関連がみられた。
Cペプチドレベルは,caseとcontrolで異なり,乳癌のステージの間で相違はなかった。Cペプチドレベル≦0.70ng/mLに比較した>1.07ng/mLの乳癌リスクは,OR=2.7(95%CI:1.2-5.9,BMIと第1子出産年齢調整済み)。この傾向は,WHRやBMIに関わらず,閉経前・後について同様に認められた。WHRが高い者(Cペプチドレベル≦0.70ng/mLに比較した>1.07ng/mLの乳癌リスク,WHR<0.8ではOR=3.0, 95%CI:1.1-8.5。WHR≧0.8ではOR=3.9,95%CI:1.6-9.8),BMIが高い者(BMI<22.8ではOR=3.7, 95%CI:1.3-10.2。BMI≧22.8ではOR=4.1, 95%CI:1.7-9.8)では,Cペプチドが乳癌に及ぼす影響がさらに増強された。
9 4 これまでの研究から,高齢女性で黒人より白人の乳癌罹患率が高く,若年女性で白人より黒人の罹患率が高い。乳癌が肥満と関連しているのであれば,人種的な罹患率の相違と身体の大きさの相違は並行しているはずである。
本研究の目的は,身体の大きさと乳癌の関連を,黒人と白人の若年女性と高齢女性の別に比較すること。
アメリカ,ノースカロライナ。20〜74歳女性。 黒人についてcase:350人,control:353人。白人についてcase:523人,control:471人。居住地域,人種,年齢により一致。 住民ベースのケースコントロール研究 白人の閉経前女性について,BMIと乳癌は逆の関連があったが(BMI=14.62-24.61に比較したBMI=30.13-59.26のOR=0.46, 95%CI:0.26-0.80),黒人と閉経後女性にこのような傾向はなかった。BMIで調整した後,WHRはすべての女性でリスクを増大させた(閉経前黒人のOR=2.50, 95%CI:1.10-5.67。閉経前白人のOR=2.44, 95%CI:1.17-5.09。閉経後黒人のOR=1.62, 95%CI:0.70-3.79。閉経前白人のOR=1.64, 95%CI:0.88-3.07)。
10 3b 身体の大きさと乳癌との関係を検討する。 患者328人と対照417人,フィンランド人 ケースコントロール研究。
生理の有無とエストロゲン受容体(ER)状態で分類した身体指標と乳癌のリスクを分析。
高い身長は特に閉経後女性で危険因子になるがBMIではなかった。WHRは閉経前と閉経後で最も重要な危険因子になる。ER++の閉経の人は,体重が重くBMIが大きかった。WHRと乳癌の間の関係は,ER状態から独立していた。
11 3b BMIやWHR,SHBGに代表される代謝-内分泌の機構と,乳癌の関連を検討すること。 case:アムステルダム,癌機関およびUtrecht大学病院でprimary surgeryと放射線治療を行った乳癌患者(Stage I および II,38〜75歳)225人。control:乳癌に関するコホートであるDOM プロジェクト参加者で,Utrechtにおける乳癌検診で正常と認められた441人。年齢により一致。 ケースコントロール研究。controlにおいて,乳癌検診受診者は,コホート参加者の70%。 閉経後の乳癌患者とcontrolの分布は,BMIではなくWHRにより異なっていた。対照的に,閉経前では,乳癌患者とcontrolの分布は,BMIとWHRにより違いがなかった。BMIと乳癌の関連は,閉経前の女性でのみ観察された(BMIが10単位増加するごとにOR=0.24)。これに対し,WHRおよび身長と乳癌のpositiveな関連は,BMIの場合ほど強くはないが,閉経に関わらず観察された。すべての女性で,血清中性脂肪およびSHBGとWHRは強い関連を示し,BMIとは弱い関連があった(相関分析による)。さらに,SHBGと初経年齢は乳癌患者で強い関連があったが,controlではなかった。
12 3b 身体の脂肪分布は乳癌の危険因子に影響を与えるかを検討する。 症例216人,対照432人 ケースコントロール研究 乳癌患者は対照群よりWHRが大きかった。
13 2b 閉経後の女性について,脂肪の分布および各ライフステージにおける体重の変化と乳癌の関連を検討すること。 Women’s Health Initiative Observational Studyに参加した女性(study参加時50〜79歳)85,917人。人種:Non-Hispanic Whiteが約90%,ほかにBlack, Hispanic, Asianなど。
居住地域:Northeast, South, Midwest, Westから,ほぼ同数。患者1,030人。
コホート研究。アメリカにおける40医療機関を中心に調査。
身体計測の他,生活習慣や病歴,過去の体重については質問紙により調査。
ホルモン補充療法(HRT)を受けたことがある女性で,身体的な測定値と乳癌の間に関連はみられなかった。
HRTを受けたことがない女性では,BMIと乳癌の関連がみられた[ベースラインにおけるBMI≦22.6の群に比較し,>31.1の群のRR:2.52(95%CI:1.62-3.93)]。この傾向は,(閉経後の)より若い年齢で顕著だった。
HRTを受けたことがない女性で,18歳以降のBMIと体重の増加は乳癌危険因子であった。
胴囲と臀囲はそれぞれ危険因子だが,WHRは乳癌との関連がみられなかった。
14 3b 身体の脂肪分布は乳癌の発生と関連性があるかどうかを明らかにする。 米国白人,乳癌患者156人,生検で良性だった患者126人,病理や臨床基準でハイリスクな患者31人。 診断前にWHRを測定。その後,上記の3群に分けた。 WHRは3つの群に対して独立であった。 生理の有無,年齢,体重ごとに分析しても,症例と対照の間に違いはなかった。
15 2b 子宮内膜,卵巣,乳房の癌になった人の特徴を明らかにすること スウエーデン人,患者1,462人,38〜60歳 コホート研究 単変量分析では,子宮内膜癌と卵巣癌は人体測定学的変数と有意な関連性があったが,乳癌では,そうした関連性は認められなかった。
16 3b 閉経後で,肥満およびbody sizeと乳癌のpositiveな関連を検証すること。 case:福岡の5つの病院で新規に乳癌と診断され,あるいは治療を受けた121人。hospital control:乳癌および良性腫瘍以外の病気で来院した患者121人(消化器,気管支,精神,外科,皮膚,ヘルニア,糖尿病,甲状腺疾患など)。neighborhood control:caseと同じstreetからランダムに選ばれた121人。年齢により一致。 ケースコントロール研究 乳癌患者は,controlよりわずかに「軽く」「小さかった」が,この傾向は共分散分析で有意ではなかった。それぞれの身体計測値を四分位で区分し,それぞれ第1四分位数をreference groupとすれば,多重ロジスティック回帰分析の乳癌ORは,20歳時の体重の第2四分位(OR=0.4, 95%CI:0.2-0.8),現在の身長の第2および第3四分位(それぞれOR=0.3, 95%CI:0.1-0.9. OR=0.4, 95%CI:0.2-0.8),靴のサイズの第3四分位(OR=0.3, 95%CI:0.1-0.8)について有意に小さかった。一方,20歳以降の体重と身体の大きさの変化について,乳癌との関連はみられなかった。

 

 
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