(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
21.2型糖尿病の発症予防
アブストラクトテーブル
論文コード | 対象 | 方法 | 結果 |
1)江口英行ほか,1998 コホート研究 レベル3 | 山形県舟形町の非糖尿病の住民(1,417人) | 1990〜1992年と1995〜1997年の2度にわたって75g糖負荷試験 | 糖尿病発症率は,正常耐糖能から3.5/1,000人・年,IGTから21.3/1,000人・年 |
2)佐々木陽ほか,1994 コホート研究 レベル3 | 大阪成人病センターに健康診断のために受診した35歳以上の男性で非糖尿病患者(749人) | 平均3.6年の観察 | 糖尿病発症率は,正常耐糖能から0,IGTから69.5/1,000人・年 |
3)伊藤千賀子,1996 コホート研究 レベル3 | 広島県原爆障害対策協議会健康管理センター受診者 | 初診時および2.1〜3.0年後に75g糖負荷試験を施行 | 糖尿病発症率は,初診時正常型から2/1,000人・年,IGT-1(2時間値140〜169mg/dL)から34/1,000人・年,IGT-2(2時間値170〜199mg/dL)から87/1,000人・年 |
4)小坂樹徳,2002 コホート研究 レベル3 | 虎の門病院健康医学センターで健診を受けた1,788人(男性が約85%,平均年齢51.5±8.6歳) | 8年間の追跡 | Kaplan-Meyer法で求めた累積糖尿病発症率は初期インスリン反応が低下した群では正常のものに比し約5倍高率 |
5)Nagi DK et al, 1995 コホート研究 レベル3 | 181人のピマ族(ネイティブアメリカン)でIGTの者 | 1〜17.2年(中央値5年)にわたる追跡調査 | 肥満,空腹時血中インスリン濃度の高値,糖負荷後30分の血中インスリン濃度の低値は糖尿病へ移行のリスクである |
6)Colditz GA et al, 1995 コホート研究 レベル3 | 33〜55歳の米国ナース(114,281人)(Nurses' Health Study) | 14年間の追跡 | 2型糖尿病発症率(RR)はベースラインにおけるBMIが22未満であったものに比し,BMIが23台のものは2.9倍,24台で5倍に増加 |
7)Kadowaki T et al, 1984 コホート研究 レベル3 | 100g糖負荷試験で境界型(日本糖尿病学会,1998年)の288人の日本人 | 5〜12年の追跡 | 初診時の血糖の高値,糖負荷後初期インスリン分泌能の低下,過去最大体重が糖尿病発症の独立した危険因子 |
8)Chan JM et al, 1994 コホート研究 レベル3 | 40〜75歳の米国人男性(51,529人) | 5年間の追跡調査 | 21歳から調査開始までの体重の増加の程度に応じて2型糖尿病発症率(RR)は増加 |
9)Ohlson LO et al, 1985 コホート研究 レベル3 | スウェーデン男性住民792人,年齢54歳 | 13.5年の追跡 | 2型糖尿病の発症は追跡開始時の体重,BMI,皮脂厚,WHRと正相関.WHRとの関連が最も強く,WHRの高い群は低い群の16.6倍 |
10)Wei M et al, 1997 コホート研究 レベル3 | 25〜64歳のメキシコ系米国人(721人) | 平均7.2年の追跡 | ウエストはmultivariate analysis後も有意の危険因子 |
11)Carey VJ et al, 1997 コホート研究 レベル3 | 米国ナース(43,581人)(Nurses' Health Study) | 8年の追跡調査 | 2型糖尿病の発症リスク(年齢調整後)は追跡開始時のウエスト,WHR,BMIが大きいものほど高い.ウエストが最も強い危険因子である |
12)Boyko EJ et al, 2000 コホート研究 レベル3 | 日系米国人(290人の2世と230人の3世)で糖尿病のないもの | 6〜10年の追跡期間 | 腹腔内脂肪蓄積が,BMIや全身の脂肪量で調整後も糖尿病発症の独立したリスクである |
13)Manson JE et al, 1991 コホート研究 レベル3 | 年齢30〜55歳の米国女性で2型糖尿病,虚血性心疾患,脳卒中,癌のない87,253人(Nurses' Health Study) | 運動習慣について調査を行った後,8年間追跡して糖尿病の発症をみる | 少なくとも週1回は汗ばむ程度の運動(早歩き,ジョギングなど)をする習慣のある者では糖尿病の発症が少ない(年齢,BMIで調整後の相対危険度0.84) |
14)Helmrich SP et al, 1991 コホート研究 レベル3 | 5,990人のペンシルバニア大学卒業生(男性) | 余暇時間に行う運動の調査.その後14年間追跡 | 1週間に運動に費やすエネルギー量が500kcal増えるごとに糖尿病発症のリスク(年齢調整)は6%減少.運動の効果はBMIが高い者などハイリスク群で顕著 |
15)Manson JE et al, 1992 コホート研究 レベル3 | 40〜84歳の米国男性で2型糖尿病,虚血性心疾患,脳卒中,癌のない21,271人(Physicians' Health Study) | 運動習慣について調査を行った後,5年間追跡して糖尿病の発症をみる | 汗ばむ程度の運動が糖尿病発症予防に有効である.週に行う回数が多いほど効果が大である(週5回以上行う群の年齢調整後の相対危険度:0.58,95%CI:0.40〜0.84,P for trend=0.0002) |
16)Hu FB et al, 1999 コホート研究 レベル3 | 40〜65歳の米国女性で2型糖尿病,虚血性心疾患,脳卒中,癌のない70,102人(Nurses' Health Study) | ベースライン(1986年)に運動習慣について調査(ウォーキングをはじめ8種類の運動について1週間にどれだけの時間を費やしているかからMet-Hours/週を計算)を行った後,8年間追跡して糖尿病の発症をみる.運動習慣については1988年,1992年にも調査しデータを更新している | 運動習慣は糖尿病発症を予防する(年齢,BMIなどで調整後).運動量(Met-Hours/週)が多ければ多いほど効果は大.Met-Hours/週が同じであれば運動の種類は,効果に関係ない |
17)Wannamethee SG et al, 2000 コホート研究 レベル3 | 40〜59歳の英国男性で2型糖尿病や心血管系疾患の既往のない5,159人(British Regional Heart Study) | 運動習慣について調査(運動量に応じて5段階に区分)を行った後,平均16.8年追跡 | 運動量が多ければ多いほど糖尿病発症率は低下(P for trend<0.001) |
18)Okada K et al, 2000 コホート研究 レベル3 | 35〜60歳の日本人男性で,エントリーの時点で糖尿病,impaired fasting glycaemia,高血圧のない6,013人 | 余暇時間における運動について調査.その後約10年間にわたって追跡 | 少なくとも週1回運動する群はほとんど運動しない群に比し,年齢,BMIなどで調整後の糖尿病発症の相対危険度(95%CI)は0.75(0.61〜0.93) |
19)Sawada SS et al, 2003 コホート研究 レベル3 | 19〜59歳の糖尿病のない健康な日本人男性9,377人 | 観察開始時に推定最大酸素摂取量を測定(5分位に分類)し,平均14年間の観察 | 最も低い有酸素能力群を基準にすると最も高い群の糖尿病発症の相対危険度(年齢,BMIなどで調整後)は0.53(95%CI:0.40〜0.71),P for trend<0.001で量反応関係を認める |
20)Salmerón J et al, 2001 コホート研究 レベル3 | 34〜59歳の米国女性で,調査開始時(1980年),糖尿病,心血管障害,癌のない84,204人(Nurses' Health Study) | 14年間の追跡調査.食事調査(116〜136項目からなる食物摂取頻度調査)は,調査開始時以外に,1984年,1986年,1990年にも施行してデータを更新 | 脂肪摂取量,飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸の摂取は糖尿病の発症と関係なし.トランス型脂肪酸は糖尿病の発症を増加させ,多価不飽和脂肪酸の摂取は減少させた |
21)Meyer KA et al, 2001 コホート研究 レベル3 | アイオワ州住民で55〜69歳の非糖尿病の女性35,988人(Iowa Women's Health Study) | エントリーの時点で食事調査(127項目からなる食物摂取頻度調査)を行い,11年間にわたって追跡 | 植物油の摂取が多いほど,糖尿病発症は低下(非食事性因子,食事性因子で調整後).食事の飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えることによりリスクは軽減 |
22)Salmerón J et al, 1997 コホート研究 レベル3 | 40〜65歳の米国女性で心血管系疾患,癌,糖尿病の診断を受けたことのない65,173人(Nurses' Health Study) | 食物摂取頻度調査後6年間の追跡 | GI(glycemic index)の高い食品を多く摂ることは,年齢,BMI,身体活動度,穀物繊維摂取量,1日エネルギー摂取量などで調整後も糖尿病発症のリスクである(5分位で最も低い群を基準にすると最も高い群の糖尿病発症の相対危険度は1.47,95%CI:1.16〜1.86,P for trend=0.003).穀物繊維の摂取はリスクを軽減する(摂取量の最も低い群を基準とすると,最も高い群の相対危険度は0.72,95%CI:0.58〜0.90,P for trend=0.001) |
23)Salmerón J et al, 1997 コホート研究 レベル3 | 40〜75歳の米国男性で糖尿病や心血管系疾患のない42,759人(Health Professionals Follow-up Study) | 食物摂取頻度調査後6年間の追跡 | GIの高い食品の摂取は,年齢,BMI,身体活動度,穀物繊維摂取量,1日エネルギー摂取量などで調整後も糖尿病発症のリスクである.穀物繊維の摂取はリスクを軽減する |
24)Meyer KA et al, 2000 コホート研究 レベル3 | アイオワ州住民で55〜69歳の非糖尿病の女性99,826人(Iowa Women's Health Study) | 食物摂取頻度調査後6年間の追跡 | 穀類(特に未精白穀類),穀物繊維,マグネシウム摂取が糖尿病発症のリスクを軽減する.炭水化物摂取量,精白穀類,果物や野菜,可溶性繊維,GIは糖尿病発症リスクと関係なし |
25)Liu S et al, 2000 コホート研究 レベル3 | 38〜63歳の糖尿病や心血管系疾患のない75,521人の米国女性(Nurses' Health Study) | 10年間の追跡調査.エントリーの時点(1984年)と1986年,1990年に126食品からなる食物摂取頻度調査を実施 | 未精白穀類の摂取量(5分位)の最も低い群を基準にすると最も高い群の糖尿病発症の相対危険度(年齢と摂取エネルギー量で調整後)は0.62(95%CI:0.53〜0.71,P trend=0.0003).精白穀類と未精白穀類の摂取量の比(5分位)の最も低い群を基準にすると最も高い群の相対危険度は1.57(95%CI:1.36〜1.82,P trend<0.0001) |
26)Hu FB et al, 2001 コホート研究 レベル3 | 84,941人の糖尿病,心血管系疾患,癌の診断を受けていない中年女性(Nurses' Health Study) | 16年にわたって追跡調査.エントリー時(1980年)と1984年,1986年,1990年に121食品からなる食物摂取頻度調査を実施 | 食事を(1)穀物繊維,(2)glycemic load,(3)多価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の比(P/S),(4)トランス型脂肪酸の4点から総合評価して5分位に分類,最もリスクの高い食事を摂っている群を基準にすると,最もリスクの低い食事摂取群の糖尿病発症の年齢調整後の相対危険度は0.49(95%CI:0.42〜0.56,P trend<0.001) |
27)Rimm EB et al, 1995 コホート研究 レベル3 | 40〜75歳の米国男性で心血管系疾患,糖尿病,癌を有しない51,529人(Health Professional's Follow Up Study) | 喫煙と飲酒の習慣についての調査後6年間の追跡 | 非喫煙者を基準にすると,25本/日以上喫煙者の糖尿病発症の相対危険度(他の危険因子で調整後)は1.94(95%CI:1.25〜3.03).飲酒習慣のないものを基準に30.0〜49.9g/日のアルコール摂取者の糖尿病発症の相対危険度(他の危険因子で調整後)は0.61(95%CI:0.44〜0.91) |
28)Uchimoto S et al, 1999 コホート研究 レベル3 | 35〜60歳の日本人男性6,250人(Osaka Health Survey).糖尿病,impaired fasting glucose,高血圧を有しないもの | 4〜16年の追跡 | 非喫煙者を基準にすると,30本/日を超える喫煙者の糖尿病発症の相対危険度(年齢,BMI,身体活動度など関連因子で調整後)は1.73(95%CI:1.20〜2.48,P trend=0.0026) |
29)Manson JE et al, 2000 コホート研究 レベル3 | 40〜84歳の米国男性で糖尿病,心血管性疾患,癌の診断を受けていない21,068人(Physicians' Health Study) | エントリー時に喫煙習慣についての調査をし12年間の追跡 | 非喫煙者を基準にすると,糖尿病発症の相対危険度(年齢,BMI,身体活動度などで調整後)は20本/日以上の喫煙者1.7(95%CI:1.3〜2.3),20本/日までの喫煙者1.5(95%CI:1.0〜2.2),過去に喫煙していた者1.1(95%CI:1.0〜1.4) |
30)Rimm EB et al, 1993 コホート研究 レベル3 | 年齢30〜55歳の米国女性で糖尿病,心血管性疾患,癌のない121,700人(Nurses' Health Study) | エントリー時と,以後2年ごとに喫煙習慣に関する調査を行い,糖尿病発症について追跡(1,277,589人・年) | 喫煙習慣を有する女性は糖尿病発症のリスクが高い.喫煙量との間に用量反応関係を認める.非喫煙者を基準にすると,糖尿病発症の相対危険度(年齢,BMIなどで調整後)は25本/日以上の喫煙者で1.42(95%CI:1.18〜1.72,P trend=0.001) |
31)Wannamethee SG et al, 2001 コホート研究 レベル3 | 40〜59歳の英国男性7,735人(British Regional Heart Study) | エントリー時に喫煙習慣に関する調査を行い,糖尿病発症(primary care recordによって確認)について16.8年の追跡 | 喫煙習慣は糖尿病発症のリスクとなる(年齢,BMIなどにて調整後).禁煙の効果は禁煙後5年以後に明らかとなる.非喫煙者のレベルにまでリスクが減少するのは20年後 |
32)Wei M et al, 2000 コホート研究 レベル3 | 30〜79歳の米国男性で糖尿病,心血管性疾患,癌の病歴のない8,633人 | エントリー時に,飲酒の習慣についての調査を行い,糖尿病発症(1997年ADAの診断基準)について追跡(52,588人・年) | アルコール摂取量と糖尿病発症の間にはU字型の関係を認める.61.9〜122.7g/週の摂取群で,最も発症率が低い.この群を基準にすると,まったく飲酒をしない群,276.6g/週以上アルコールを摂取する群では,それぞれ,発症率が1.8倍,2.4倍増加する.年齢,BMIなどで調整後もこの関係は変わらない |
33)Ajani UA et al, 2000 コホート研究 レベル3 | 40〜84歳の米国男性で糖尿病,心血管性疾患,癌の診断を受けていない20,951人(Physicians' Health Study) | エントリー時に飲酒の習慣についての調査を行い,糖尿病発症(自己申告)について平均12.1年間追跡 | ほとんどアルコールを摂取しない群を基準に,1drink/日以上の群の糖尿病発症の相対危険度(年齢,BMIなどで調整後)は0.57(95%CI:0.45〜0.73,linear trend P<0.001).対象者の中に大量の飲酒家はほとんどいなかった |
34)Tsumura K et al, 1999 コホート研究 レベル3 | 35〜61歳の日本人男性6,362人(Osaka Health Survey).エントリー時点で糖尿病,impaired fasting glucose,高血圧,肝硬変のないもの | 4〜16年の追跡 | BMI≧22.1では,中等量のアルコール摂取者(29.1〜50.0mL/日)で糖尿病の発症が非飲酒者に比し低い(年齢,BMI,喫煙量などで調整後の相対危険度0.58,95%CI:0.39〜0.87).BMI≦22.0についてみると,大量アルコール摂取者(50.1mL/日以上)で糖尿病の発症が非飲酒者に比し高い(調整後の相対危険度2.48,95%CI:1.31〜4.71) |
35)Waki K et al, 2005 コホート研究 レベル3 | 40〜59歳の日本人男性12,913人と女性15,980人(JPHC Study) | 10年の追跡 | BMI 22以下の男性において,中等量のアルコール摂取者(23〜46g/日)と大量のアルコール摂取者(46g/日以上)の糖尿病(自己申告で評価)のオッズ比は,それぞれ1.91(95%CI:1.05〜3.46)と2.89(95%CI:1.63〜5.11)であった |
36)Yamaoka K et al, 2005 メタアナリシス レベル1+ | 9件のRCT | 食事と運動または食事のみのライフスタイル教育 | ライフスタイル教育により,対照群と比べ食後2時間血糖値が0.84mmol/L低下し,1年後の糖尿病発症率は低下した(RR0.55) |
37)Wing RR et al, 1998 RCT レベル2 | 糖尿病の家族歴を有する肥満者(平均年齢:45.7±4.4,平均BMI:35.9±4.3)で糖尿病のない154人(米国) | 無作為に,(1)食事介入群(カロリーと脂肪摂取の制限),(2)運動介入群(中等度の運動を1,500kcal/週),(3)食事と運動介入群,(4)コントロール群に分けて,2年間の追跡 | 当初,行動変容や体重減少などの効果が介入群でみられたが,効果は持続せず,2年後には各群で差がなかった.介入方法を問わず,2年目でベースラインより4.5kgの体重減少のあった者では,減少のなかった者に比し,糖尿病発症のリスクは約30%減少した |
38)Pan X-R et al, 1997 RCT レベル3 | 557人のIGT(Da Qing IGT and Diabetes Study) | クリニックごとに無作為に,(1)食事介入群,(2)運動介入群,(3)食事と運動介入群,(4)コントロール群に分ける.6年間の追跡により糖尿病発症を比較する | ベースラインにおけるBMI,空腹時血糖値で調整後,(1)食事介入群,(2)運動介入群,(3)食事と運動介入群で,それぞれ,31%,46%,42%の糖尿病発症の減少がみられた.BMI≧25とBMI<25の間で介入効果に差はなかった |
39)Heymsfield SB et al, 2000 RCT レベル1 | 675人の肥満者(BMI 30〜43) | 無作為にオルリスタット投与群(消化管リパーゼインヒビターで消化管からの脂肪吸収を30%抑制)とプラセボ投与群に分ける.食事は両群とも低エネルギー食とし,104週間薬剤を投与する.前後2回の75g糖負荷試験を行い,耐糖能への効果を2群で比較 | 低エネルギー食にオルリスタットを加えることにより,体重はプラセボ投与群より減少し,耐糖能へも良好な効果が得られた |
40)Tuomilehto J et al, 2001 RCT レベル1 | 522人の中年の肥満IGT(Finnish Diabetes Prevention Study).平均年齢:55歳,平均BMI:31 | 無作為に,(1)生活習慣介入群,(2)コントロール群に分ける.介入群には体重減少,総脂肪摂取と飽和脂肪酸摂取の減少,食物繊維摂取の増加,運動量増加を目標とした個人指導を行う.毎年75g糖負荷試験を行い平均3.2年の追跡 | 2年目を終了した時点で介入群は3.5±5.5kgの体重減少(コントロール群では0.8±4.4kg)があった.4年間の糖尿病累積発症率は介入群で11%,コントロール群で23%と,介入により糖尿病の発症は58%減少した.目標の達成数が多いものほど発症は少なかった |
41)Swinburn BA et al, 2001 RCT レベル2 | 176人の耐糖能異常者(75g糖負荷試験の2時間値が126〜198mg/dL).平均年齢:52歳,平均BMI:29 | 無作為に,低脂肪食群と普通食事群に分ける.5年間追跡して体重と耐糖能の変化を調べる.低脂肪食群には小グループ単位で食事指導(1回/月)を最初の1年間続ける | 低脂肪食群では1年目で体重減少は最大(ベースラインより3.3kg減少)で,3年目まで(1.6kgの減少)がみられたが,5年目にはベースラインより1.1kg増えていた(普通食事群では,それぞれ,0.6kg,2.1kg,1.3kgの増加).耐糖能の改善率は1年目では,低脂肪食群で高かったが,その後は両群で差がなかった |
42)Diabetes Prevention Program Research Group, 2002 RCT レベル1 | 3,234人の耐糖能異常者(IGT,IFG).平均年齢:51歳,平均BMI:34.0.68%が女性で,45%が少数民族グループ(米国,Diabetes Prevention Program) | 無作為に,(1)生活習慣介入群,(2)メトホルミン投与群(850mgを2回/日),(3)プラセボ群に分ける.生活習慣介入群にはベースラインより7%の体重減少と少なくとも週に150分の運動を行うことを目標にケースマネージャーによる個人指導(16回/6ヵ月).平均2.8年の追跡 | 生活習慣介入により58%,メトホルミン投与により31%,糖尿病の発症が抑制された |
43)石田さくら子ほか,2004 非ランダム化比較試験 レベル3 | 204人の耐糖能異常者(IGT) | 医師によるガイダンス,栄養指導,運動指導 | 1年後の糖尿病発症率(1回の糖負荷試験で判定)は,対照群19.6%,介入群6.9% |
44)Kosaka K et al, 2005 RCT レベル2 | 虎の門病院健康医学センターで健診の結果IGTと判定された中年男性458人.80%が国家公務員 | 無作為に医師による生活習慣に介入する群(102人)と非介入群(356人)に分け,4年間の追跡 | 4年後の体重は,非介入群で平均0.39kg減,介入群で平均2.18kg減少.経過中FPG≧140mg/dLに固定したものを糖尿病発症と認定.累積糖尿病発症率は非介入群の9.3%に対して,介入群では2.9%と有意に低率 |
45)葛谷英嗣ほか,2005 RCT レベル2 | 296人の耐糖能異常者.平均年齢51±6歳,平均BMI 24.5±3.0 | 無作為に対照群と介入群に分け,3〜6年間追跡中 | 介入1年後に対照群に比べ,介入群では有意な体重とγ-GTPの低下がみられ,3年間の累積糖尿病発症率が低下した |
46)布井清秀ほか,2005 非ランダム化比較試験 レベル3 | 空腹時血糖110〜139mg/dLまたはHbA1c 5.7〜6.5%で要精密検査と判定された者640人. | 半日コースのIGT教室を受講した42人の介入群と受講しなかった非介入群598人.4年の体重,空腹時血糖,HbA1c値で比較 | 介入群で体重1kg減,空腹時血糖とHbA1c値は前後で有意差なし.非介入群では,体重に変化なく,空腹時血糖とHbA1c値が有意に増加 |
47)Ramachandran A et al, 2006 RCT レベル1 | 531人の耐糖能異常者(IGT).平均年齢46歳,平均BMI 25.8 | 対照群,ライフスタイル修正群,メトホルミン群,ライフスタイル修正+メトホルミン群の4群に無作為化 | 3年間の糖尿病発症率は,対照群55.0%,ライフスタイル修正群39.3%,メトホルミン群40.5%,ライフスタイル修正+メトホルミン群39.5% |
48)Chiasson J-L et al, 2002 RCT レベル2 | 1,368人のIGTで空腹時血漿ブドウ糖濃度が101〜139mg/dLのもの(STOP-NIDDM randomized trial).平均年齢51歳,平均BMI 31 | 無作為に,アカルボース(100mg,1日3回)投与群とプラセボ投与群に分ける.平均フォローアップ期間3.3年 | アカルボース投与により糖尿病への移行の相対リスクを35.6%減少させる |
49)Padwal R et al, 2005 システマティックレビュー レベル1+ | 10件の経口糖尿病薬と15件の非経口糖尿病薬 | メトホルミン,フェンホルミン,アカルボース,トルブタミド,トログリタゾン(経口糖尿病薬),オルリスタット,ACE阻害薬,ARB,スタチン,フイブレート,エストロゲン(非経口糖尿病薬)投与群とプラセボ群に分け,糖尿病発症率を比較 | メトホルミンのRR 0.69,アカルボースのRR 0.75,トログリタゾンのRR 0.45,オルリスタットのRR 0.63 |