(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
20.糖尿病の療養指導・患者教育
解説
2.チームによる実際的な療養指導
患者の自己管理能力を向上させることは,学歴,生活習慣に関係なく,糖尿病とその自己管理に必要な知識や技能をいかに理解させ,実生活に結びつくように療養指導を行うか,にかかっている7).
よりよい自己管理のためには,糖尿病に関する知識を十分に提供する必要がある.基本的な知識の欠如がある場合,患者の治療への動機づけは難しい8).高齢患者においても,基本的な知識の欠如は不利な条件となる9).しかし,知識のみでは良好な代謝コントロールの達成は不可能である.基本的な知識がないために,患者自身の治療法の選択能力が不十分である場合,あるいは知識として教育したことが,実際面で利用できず,ただ列挙された項目のみである限り,教育効果は十分発揮されない.患者にとって目的不明な情報や,実行不可能な知識や技術は実際的な援助とはならない.患者個人の生活を理解し,具体的目標を定めて,生活の場で実行できる知識と技術として提供すべきである10).
実際的な療養指導には,医療専門職種がチームを組んで糖尿病教室などにおける集団指導および個別化された個人指導が有効であるとされている.集団指導も十分に計画された標準的なプログラムとして個々の症例に共通する問題を取り扱う場合,有用である11).患者教育には患者の動機付けと患者の自発的な参加が不可欠とされているが,受身な学習においても快適な学習であれば血糖コントロール上,十分な効果が認められている12).患者に選択能力がない時には,患者が希望するコースを自分で選択するのではなく,教育のプログラムを適切に指示して集団教育の場に出席させればプログラムを選択する能力を開発できる.糖尿病の自己管理は患者自身により行われることから,教育の個人化が重要であるが,集団指導は個人教育の重要な一部となっており,医療資源の効果的利用手段のひとつとみることができる.
よりよい自己管理のためには,糖尿病に関する知識を十分に提供する必要がある.基本的な知識の欠如がある場合,患者の治療への動機づけは難しい8).高齢患者においても,基本的な知識の欠如は不利な条件となる9).しかし,知識のみでは良好な代謝コントロールの達成は不可能である.基本的な知識がないために,患者自身の治療法の選択能力が不十分である場合,あるいは知識として教育したことが,実際面で利用できず,ただ列挙された項目のみである限り,教育効果は十分発揮されない.患者にとって目的不明な情報や,実行不可能な知識や技術は実際的な援助とはならない.患者個人の生活を理解し,具体的目標を定めて,生活の場で実行できる知識と技術として提供すべきである10).
実際的な療養指導には,医療専門職種がチームを組んで糖尿病教室などにおける集団指導および個別化された個人指導が有効であるとされている.集団指導も十分に計画された標準的なプログラムとして個々の症例に共通する問題を取り扱う場合,有用である11).患者教育には患者の動機付けと患者の自発的な参加が不可欠とされているが,受身な学習においても快適な学習であれば血糖コントロール上,十分な効果が認められている12).患者に選択能力がない時には,患者が希望するコースを自分で選択するのではなく,教育のプログラムを適切に指示して集団教育の場に出席させればプログラムを選択する能力を開発できる.糖尿病の自己管理は患者自身により行われることから,教育の個人化が重要であるが,集団指導は個人教育の重要な一部となっており,医療資源の効果的利用手段のひとつとみることができる.