(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版

 
20.糖尿病の療養指導・患者教育


解説

1.糖尿病の療養指導の必要性
糖尿病の療養指導は糖尿病治療の中で重要な一部を占める.近年,糖尿病治療に対する考え方が変化しつつあるが,その要因として次のようなことが挙げられる.
  • (1)合併症の発症予防と進展抑制の観点から,いかなるタイプの糖尿病にも早期から厳格な代謝コントロールが要求されるようになった.
  • (2)糖尿病患者の日常管理はプライマリケアベースで行われる性質であることが,多くの医師,コメディカルなど医療関係者に理解されるようになった.
  • (3)患者個人あるいは社会から療養指導を含む診療の質の向上が求められている.
  • (4)患者数の増加から医療資源の効果的な利用が急務となっている.
したがって,患者の長期予後を考慮し,科学的根拠に基づいた療養指導を行う必要がある1),2),3).糖尿病診療を効率かつ安全に遂行するには,患者が糖尿病を理解し,治療に関する正しい基礎知識を持っていることが必要であり,そのうえで自己管理に適切な技能の習得を図るべきである6)
糖尿病の基本療法である食事・運動療法,および必要に応じて適応されるインスリン注射を含む薬物療法は,患者の日常生活そのものである.療養指導を含む治療に所期の効果が上がらない場合,医療チームに患者の生活情報が把握されていないためであることが多い.医師が治療方針を決定するとき,食生活,運動量などの生活情報が必要であり,尿所見,血糖値など患者が自ら得た成績の記録を参考にする.特に,血糖自己測定(以下SMBG)は患者が自分の血糖値を知ること,食事,身体活動(労働と運動療法),そしてインスリンや経口血糖降下薬の効果と血糖変動に対する体の反応についての理解を深め,より質の高い自己管理を目指すものとして,療養指導上重要な位置を占める4),5)

 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す