(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版

 
17.高齢者の糖尿病


解説

3.高齢者における血糖管理目標値
高血糖は,高齢者においても糖尿病細小血管症あるいは大血管症の危険因子である.したがって,高齢者糖尿病においても糖尿病の血管合併症の予防のために高血糖の是正を図るべきと考えられる.ただし,高齢者では高血糖を是正することが血管合併症の発症・進展を抑制できることを示したRCTによるevidenceはない.旧厚生省長寿科学総合研究班は,日本における高齢者糖尿病の前向きあるいは後向き追跡調査の成績を集積し,空腹時血糖値140mg/dL,HbA1c 7%以上,糖負荷後2時間血糖値250mg/dL,あるいは糖尿病網膜症,微量アルブミン尿症を認める例では糖尿病網膜症あるいは糖尿病腎症の発症・進展頻度が高いことから,これらにあてはまる症例は高齢者であっても厳格な治療対象とすべきと報告している17)
血糖コントロールの目標として,高齢者においても血糖の正常化をはかることが望ましいが,種々の条件から,その達成が困難と判断される場合も少なくない.上記長寿科学総合研究班の報告を考慮すると,そのような場合は空腹時血糖値140mg/dL,HbA1c 7%を目標とした治療を行うとよいと考えられる.少なくとも生命予後に関しては,ある程度の血糖コントロールが達成できれば,きわめて良好に血糖をコントロールしえた例と同様と報告18)されている.しかし,高齢者糖尿病の血糖コントロール目標値に関しては,さらに今後検討がなされる必要がある.

 
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