(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
15.糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病
解説
7.経口血糖降下薬,インスリン療法
経口血糖降下薬グリブライド(グリベンクラミド)は,胎児に影響を及ぼさなかったとするRCT12)もあるが,なお,安全性が確立したとは言えず,原則としてインスリン療法に変更する.経口血糖降下薬服用中に妊娠した場合には,経口血糖降下薬が先天奇形の頻度を増加させるという証拠は得られていない12),13)ことを患者に説明する.
インスリン治療としては,厳格な血糖コントロールの必要性から,インスリン注射の回数が増えることを厭わない強化インスリン療法が行われる.妊娠後半期にはインスリン投与量を約2倍に増量しなければならない場合が多い.分娩後は速やかにインスリン投与量を半量とし,血糖値を参考にして個別に投与量の調節を行う.
超速効型インスリンは妊娠時に使用可能であると考えられる.その理由は以下の通りである.インスリンリスプロ(通常用量)の胎盤通過性は否定的であり27),抗原抗体反応は速効型インスリンと比較しても差のないことが示されている28).また臨床上,糖尿病合併症の悪化は速効型インスリン投与群と比し差は認められず29),先天異常を含めた胎児・新生児への影響も認められていない27),29),30).また血糖コントロールの有用性については,GDM30),糖尿病合併妊娠27)においてリスプロ群がよかったことを報告している.さらにDTSQ(Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire)を用いたQOLについては,リスプロ投与群が速効型インスリン投与群より有意によいことが示されている30).
一方,GDMに対しアスパルトを用いた場合,食後の血糖値を速効型インスリンより有効に下げうることが報告されており31),32),現在アスパルトの妊娠時における有用性の検討も行われておりf),g),現時点で超速効型インスリンとしてリスプロもアスパルトも同等の扱いで使用することが可能である.ただし,グラルギンについては現時点で十分なデータはなく,妊娠時の使用については原則として避けるべきである.これらインスリンアナログの使用に関するrecommendationは第5回GDMに関する国際ワークショップ(シカゴ)h)において決定され,2007年度のDiabetes Careのsupplementに掲載される予定である.
また,米国食品医薬品局(food and drug administration:FDA)の分類によるとレギュラーインスリンはclass Bに属しており,超速効型インスリンであるリスプロとアスパルトはclass Bに,グラルギンはclass Cに分類されていることに留意すべきであり,またどの製剤も長期的な予後に関する十分なデータのないことも事実であり,これら製剤の使用の際には,依然十分なインフォームド・コンセントが必要である.
インスリン治療としては,厳格な血糖コントロールの必要性から,インスリン注射の回数が増えることを厭わない強化インスリン療法が行われる.妊娠後半期にはインスリン投与量を約2倍に増量しなければならない場合が多い.分娩後は速やかにインスリン投与量を半量とし,血糖値を参考にして個別に投与量の調節を行う.
超速効型インスリンは妊娠時に使用可能であると考えられる.その理由は以下の通りである.インスリンリスプロ(通常用量)の胎盤通過性は否定的であり27),抗原抗体反応は速効型インスリンと比較しても差のないことが示されている28).また臨床上,糖尿病合併症の悪化は速効型インスリン投与群と比し差は認められず29),先天異常を含めた胎児・新生児への影響も認められていない27),29),30).また血糖コントロールの有用性については,GDM30),糖尿病合併妊娠27)においてリスプロ群がよかったことを報告している.さらにDTSQ(Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire)を用いたQOLについては,リスプロ投与群が速効型インスリン投与群より有意によいことが示されている30).
一方,GDMに対しアスパルトを用いた場合,食後の血糖値を速効型インスリンより有効に下げうることが報告されており31),32),現在アスパルトの妊娠時における有用性の検討も行われておりf),g),現時点で超速効型インスリンとしてリスプロもアスパルトも同等の扱いで使用することが可能である.ただし,グラルギンについては現時点で十分なデータはなく,妊娠時の使用については原則として避けるべきである.これらインスリンアナログの使用に関するrecommendationは第5回GDMに関する国際ワークショップ(シカゴ)h)において決定され,2007年度のDiabetes Careのsupplementに掲載される予定である.
また,米国食品医薬品局(food and drug administration:FDA)の分類によるとレギュラーインスリンはclass Bに属しており,超速効型インスリンであるリスプロとアスパルトはclass Bに,グラルギンはclass Cに分類されていることに留意すべきであり,またどの製剤も長期的な予後に関する十分なデータのないことも事実であり,これら製剤の使用の際には,依然十分なインフォームド・コンセントが必要である.