(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版

 
15.糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病


解説

4.糖尿病腎症
糖尿病腎症は妊娠時に悪化しやすく,蛋白尿の増量や高血圧,すなわち妊娠高血圧症候群を発症し,母児に重篤な影響を与えうる.病態の悪化が激しい場合には,子宮内胎児発育遅延や胎児の健康状態の悪化を招き,早期に妊娠を中断せざるをえないことが多い22)
妊娠による糖尿病腎症の悪化は一過性であるという報告が多いが,進行した腎症は,妊娠により非可逆的に進行し,透析導入の時期を早める可能性も報告されているので,妊娠の是非および継続について慎重にカウンセリングを行う必要がある.
糖尿病腎症に伴う高血圧の治療については,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は胎児に影響を与える可能性があり禁忌とされている.利尿薬も循環血液量の低下にともなって子宮胎盤血流量の低下につながるおそれがあるため注意が必要である.従来から妊娠中に一般的に用いられている降圧薬としては,塩酸ヒドララジンおよびアルファメチルドーパがある.その他,最近ではカルシウム拮抗薬なども用いられているが,妊娠中の安全性が確立されているとはいえないので,十分なインフォームド・コンセントのもとに使用する必要がある.


 
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