(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
13.糖尿病に合併した高血圧
解説
6.降圧薬の併用
糖尿病患者では,非糖尿病患者に比べて降圧治療に抵抗性で,より多くの降圧薬が必要なことが報告されている41).また,目標血圧が低くなればなるほど,単剤で降圧目標を達成できないことが多くなる.1つの降圧薬を最大量にまで増量するよりは,作用機序の異なる降圧薬を併用することが原則である.このような併用により,降圧効果はより大きくなり,また副作用も少ない.2型糖尿病患者を27%含む3つ以上の危険因子を有するハイリスクの高血圧患者で行われたASCOT(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Blood Pressure Lowering Arm)では,持続性ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬にACE阻害薬を併用した群において,β遮断薬に利尿薬を併用した群に比べて,非致死性心筋梗塞と致死性冠動脈疾患による死亡が10%低下した42).当面,ACE阻害薬やARBに持続性ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を併用することが勧められる.3剤以上の降圧薬を併用する場合には,少量のサイアザイド系利尿薬も考慮する15).