(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
12.糖尿病に合併した肥満
解説
1.肥満症の定義
肥満とは,体脂肪が過剰に蓄積した状態である.肥満症とは肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか,その合併が予測される場合であり,糖尿病に肥満が合併した場合も医学的に減量を要する病態である.肥満者では増大するインスリン抵抗性に対して,代償的なインスリン分泌の増加が生じ,膵β細胞量が増加する2).しかし,糖尿病があるとアポトーシスの増加により相対的に膵β細胞量は減少する.したがって,肥満糖尿病患者を高血糖のまま放置することは,糖尿病状態をさらに悪化させるので,生活習慣を積極的に改善し,体重を増加させないで血糖コントロールを良好にすることが必要である.わが国で行われた研究で,BMIが25を超えると肥満に伴う健康障害が合併しやすいことが報告されており1),また,わが国での肥満度と疾病との関連では,BMI 22において最も疾病が少ないとされるa).