(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版

 
9.糖尿病神経障害の治療


解説

2.糖尿病神経障害の診断
糖尿病患者を診察する際には,必ず神経障害の有無あるいはその重症度について診断しなければならない.
糖尿病神経障害に特異的な症状や検査は存在せず,国際的コンセンサスの得られた診断基準も確立されていない.さまざまな神経症状と検査結果から総合的に診断する必要があるが,表2に示したものがひとつの方法であるb).スクリーニングに有用な検査は,腱反射,振動覚,神経伝導速度,モノフィラメントを用いたタッチテスト,心拍変動などの検査であり,定期的にこれらの検査を行うことにより神経障害の発症および進展を早期かつ正確に診断することができる.


表2 糖尿病神経障害(多発性神経障害と単発性神経障害)の診断(厚生省糖尿病調査研究班の提案)
多発性神経障害
  • 糖尿病状態(持続性高血糖状態)にあること.
  • 神経症状の原因となる疾患が糖尿病以外にないこと.
  • 自発痛,パレステジア(異常感覚),感覚鈍麻,感覚脱失などがあり,特に下肢のより遠位部末梢ほどその程度が強く,ほぼ左右対称性である.
  • 膝(蓋腱)反射,アキレス(腱)反射の減弱ないしは消失.
  • 内・外踝および橈骨,尺骨茎状突起部あるいは手指,足指などの振動覚の鈍麻,消失.
  • 電気生理学的神経機能検査による異常所見.
  • 起立性血圧低下,発汗異常,排尿障害,便通異常.
上記1,2に加え3〜7のうち3つ以上の項目を満たす場合に糖尿病末梢神経障害と診断する.3〜7のうち1つないしは2つあるものはその疑いとする.
単発性神経障害
  • 糖尿病状態にあること.
  • 限局性の自発痛,パレステジア(異常感覚),感覚鈍麻,筋力低下があり,詳細な検索によっても原因疾患が糖尿病以外に認められないこと.
この2つを満足すること.


 
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