(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
9.糖尿病神経障害の治療
解説
1.糖尿病神経障害の臨床的分類
糖尿病神経障害は糖尿病患者における最も重大な合併症のひとつであり,主として知覚神経と自律神経が障害される.糖尿病神経障害は広汎性左右対称性神経障害と単発性神経障害に分けられるa)(表1).臨床で最も多くみられるのは,多発性神経障害としての感覚・運動神経障害と自律神経障害である.
多発性神経障害では,四肢末端に知覚鈍麻,自発痛,しびれ感・灼熱感などの異常感覚を示すことが多く,患者に強い苦痛を与えることがある.
自律神経障害は,発汗異常,起立性低血圧,消化管の運動障害(便秘,下痢),心臓神経の障害,瞳孔機能の障害,膀胱の機能障害,勃起障害などを起こし,しばしば日常生活を大きく損なわせる.
単発性神経障害は,脳神経障害,特に外眼筋麻痺,体幹・四肢の神経障害,糖尿病筋萎縮を起こす.
表1 糖尿病神経障害の分類と主な症状
多発性神経障害では,四肢末端に知覚鈍麻,自発痛,しびれ感・灼熱感などの異常感覚を示すことが多く,患者に強い苦痛を与えることがある.
自律神経障害は,発汗異常,起立性低血圧,消化管の運動障害(便秘,下痢),心臓神経の障害,瞳孔機能の障害,膀胱の機能障害,勃起障害などを起こし,しばしば日常生活を大きく損なわせる.
単発性神経障害は,脳神経障害,特に外眼筋麻痺,体幹・四肢の神経障害,糖尿病筋萎縮を起こす.
表1 糖尿病神経障害の分類と主な症状
分類 | 症状 |
A.広汎性左右対称性神経障害(代謝障害が主因) | |
1.多発性神経障害 | 異常感覚(しびれ感,ジンジン感,冷感など),自発痛,感覚鈍麻,こむらがえり |
2.自律神経障害 | 発汗異常(味覚性発汗,無汗),起立性低血圧,胃無力症,便通異常(便秘,下痢),胆嚢無力症,膀胱障害,勃起障害,無自覚低血糖など |
B.単発性神経障害(血管閉塞が主因) | |
3.脳神経障害 | 外眼筋麻痺(動眼・滑車,外転神経麻痺など),顔面神経麻痺,聴神経麻痺など |
4.体幹・四肢の神経障害 | 尺骨神経麻痺,腓骨神経麻痺,体幹の単発性神経障害 |
5.糖尿病筋萎縮 |