(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
8.糖尿病腎症の治療
解説
3.早期腎症の治療
厳格な血糖・血圧のコントロールが腎症の進展抑制に重要1),3),4),11)である(血糖・高血圧のコントロールの目標はそれぞれの項目を参照).1型糖尿病患者では,微量アルブミン尿を呈する早期腎症から,蛋白尿を呈する顕性腎症に至るまで,ACE阻害薬の有効性が確認されている10),26).2型糖尿病患者においても,ACE阻害薬やARBが腎症前期から早期腎症,早期腎症から顕性腎症への進行抑制に有効であるという報告が多いが12),13),14),15),16),17),19),20),21),22),23),24),25),ACE阻害薬・ARBが,他の降圧薬に比べて特に有効かについては,いまだ明らかではない(なお,正常血圧患者に対するACE阻害薬・ARBの使用はわが国では,2型糖尿病患者では保険診療上の適用はない).早期腎症2型糖尿病患者を対象にしたわが国のJ-MIND試験18)や英国のUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)11),12)において,ジヒドロピリジンカルシウム拮抗薬であるニフェジピン徐放薬やβ遮断薬アテノロールがACE阻害薬と同様の効果を示したと報告されている.
近年,わが国においても早期腎症を対象にしたコホート研究にて,厳格な血糖・血圧管理(ACE阻害薬・ARBの投与を含め)が,アルブミン尿の減少や,微量アルブミン尿期から正常アルブミン尿期へ移行させることが報告され,早期からの集約的な治療が腎症の発症・進展を抑制することが示された41),42).
近年,わが国においても早期腎症を対象にしたコホート研究にて,厳格な血糖・血圧管理(ACE阻害薬・ARBの投与を含め)が,アルブミン尿の減少や,微量アルブミン尿期から正常アルブミン尿期へ移行させることが報告され,早期からの集約的な治療が腎症の発症・進展を抑制することが示された41),42).