(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版

 
8.糖尿病腎症の治療


解説

1.糖尿病腎症の臨床経過と病期分類
1型糖尿病における腎症は,微量アルブミン尿の出現により発症し(早期腎症),未治療であれば,年間10〜20%アルブミン尿が増加し,10〜15年後に蛋白尿が陽性となる顕性腎症に移行する.顕性腎症期まで,病期が進行すると,GFR(glomerular filtration rate)が年間に2〜20ml/min低下し,半数以上の症例で,10年以内に末期腎不全に陥ると考えられているb).以上は,代表的な経過であり,腎症の進行速度は,患者によって,治療によって,大きく変わりうる.
わが国に多い2型糖尿病では,糖尿病発症の時期が不明瞭であることや,1型糖尿病と比較して腎症発症前より,すでに高血圧を合併していることが多く,糖尿病診断時から,アルブミン尿や,蛋白尿が出現している患者もあるが,いったん腎症が発症すればその臨床経過は1型と同じと考えられているk)
厚生省の糖尿病調査研究班により2型糖尿病における腎症の病期分類が作成されているg),i)表1).

表1 糖尿病腎症病期分類(改定)
病期 臨床的特徴 病理学的特徴
糸球体病変
備考
主な治療法
尿蛋白(アルブミン) GFR(Ccr)
第1期
(腎症前期)
正常 正常ときに高値 びまん性病変:ない〜軽度 血糖コントロール
第2期
(早期腎症)
微量アルブミン尿 正常ときに高値 びまん性病変:軽度〜中程度
結節性病変:ときに存在
厳格な血糖コントロール
降圧治療
第3期A
(顕性腎症前期)
持続性蛋白尿 ほぼ正常 びまん性病変:中程度
結節性病変:多くは存在
厳格な血糖コントロール
降圧治療・蛋白制限食
第3期B
(顕性腎症後期)
持続性蛋白尿 低下 びまん性病変:高度
結節性病変:多くは存在
厳格な降圧治療
蛋白制限食
第4期
(腎不全期)
持続性蛋白尿 著明低下
(血清Cr上昇)
荒廃糸球体 厳格な降圧治療
低蛋白食・透析療法導入
第5期
(透析療法)
透析療法中 移植
降圧療法については「高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会)」(2004年)を参照のこと.
 :改定部分
(糖尿病性腎症に関する合同委員会報告.日腎会誌44(1),2002より)


 
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