(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版

 
6.インスリンによる治療


解説

4.2型糖尿病におけるインスリン療法
2型糖尿病においても血糖コントロールを良好に保つことにより,合併症,死亡のリスクが減少することが明らかとなった8),9).強化インスリン療法を含めたインスリン療法による.厳格な血糖コントロールによって糖尿病合併症を予防しうることが明らかとなった7).そのためには,食事療法,運動療法を基礎においた生活習慣の改善はもとより,積極的な薬物療法の介入が重要と考えられる.したがって,経口血糖降下薬の治療で血糖コントロールが悪い場合は,生活習慣の点検・是正ののちインスリンの導入を検討する.この場合,2型糖尿病ではインスリン分泌能が多少残存している場合が多く,就寝前中間型ないし持効型溶解インスリン注射や夕食前混合型インスリン注射などから朝・夕食前混合型インスリン注射あるいは各食前速効型・就寝前中間型インスリン注射まで幅広い選択肢がある.スルホニル尿素薬二次無効に対して,夕食前に混合型インスリン23),24),または就寝前に中間型インスリン10)を追加することによって良好な血糖コントロールが得られる可能性がある.就寝前のインスリン注射は,高インスリン血症を招来させるリスクも少ない15).開始時の1日のインスリン投与量は,0.1〜0.2単位/体重kg(8〜12単位)程度である.
経口血糖降下薬とインスリン療法の併用については,導入時にインスリン単剤で使用するよりは,経口血糖降下薬に加えて夕食前または就寝前にインスリンを追加したほうが,良好な血糖コントロールが得られるとの報告がある23),24),25).この場合,インスリン治療による低血糖の発現,体重増加傾向などを考慮し,その使用に注意する必要がある.併用によるインスリン減量については,日本人の平均インスリン使用量は欧米人に比べ多くないので医療費の節約効果は限定的である.


 
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