(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
3.食事療法
アブストラクトテーブル
論文コード | 対象 | 方法 | 結果 |
1)UKPDS Group, 1990 RCT (食事療法の期間は前後比較試験) レベル1 | 2型糖尿病(3,044人) | 炭水化物50%,脂質30%,蛋白20%の英国糖尿病協会の勧告に従った食事 理想体重の110%未満:1,672kcal 理想体重の110~129%:1,361kcal 理想体重の130~149%:1,217kcal 理想体重の150%以上:1,098kcal [3ヵ月] | 447人のdiet failure群を除く2,597人で空腹時血糖値は11.4±3.3から8.1±1.8mmol/Lに減少した |
2)Pastors J et al, 2002 システマティックレビュー レベル1+ | 1型,2型糖尿病.1990~2001年に出版されたRCT5文献,症例対照研究,前後比較試験など5文献,メタアナリシス4文献 | 1997年の第105回米国議会のメディケアプログラムにおける医学的栄養治療の有効性と経済効果を検証するための研究の求めに応じ,米国科学アカデミーが1999年に報告した | 糖尿病に関し,個別の医学栄養治療は医師の指導のもとに登録された栄養士が行う場合有益であるとの報告が行われた.RCT,症例観察研究,メタアナリシスから栄養介入は血糖値、HbA1cなどの代謝指標を改善する |
3)Kulkarni K et al, 1998 非ランダム化比較試験 レベル2 | 1型糖尿病(54人) | ガイドライン使用群(24人)vs.コントロール(従来の方法)群(30人)[3ヵ月] | ガイドライン使用群では血糖コントロールは著明に改善 |
4)Chandalia M et al, 2000 RCT レベル2 | 2型糖尿病(13人) | 食物繊維中等量食(24g)vs.高食物繊維食(50g)[6週間] | 高食物繊維食は血糖コントロールを改善し,高インスリン血症を改善した.総コレステロール,中性脂肪も低下した |
5)Wing RR et al, 1994 RCT レベル2 | 肥満2型糖尿病(93人) | 400kcal/日群vs. 1,000kcal/日群[20週] | 体重減少とは独立して,カロリー制限が空腹時血糖,インスリン感受性を改善 |
6)Pi-Sunyer FX et al, 1999 RCT レベル2 | 2型糖尿病(202人) | CCNW(Campbell's Center for Nutrition and Wellness diet)食事プログラム群vs. SSD(Self selected diet,ADA準拠)群 | ADAの食事療法ガイドラインは血糖コントロールを改善する.食事プログラムは食品交換表を使用するSSDより簡易に処方でき食事基準を満たす |
7)Hanefeld M et al, 1991 RCT レベル1 | インスリン非依存型糖尿病(1,139人) | 介入群(教育群)(761人)vs.コントロール群(378人)[5年間] | 糖尿病教育は血糖コントロールを改善し,経口血糖降下薬の必要量を減少させた |
8)Anderson J et al, 2004 システマティックレビュー レベル1+ | 糖尿病患者 | 米国,カナダ,ヨーロッパ,英国,インド,アフリカ,日本,などの糖尿病学会が推奨する炭水化物,食物繊維の摂取に関する勧告およびRCT24文献 | 糖尿病患者の食事は炭水化物55%以上,蛋白12~16%,脂質30%未満,一価不飽和脂肪酸12~15%が勧められる.また食物繊維は25~50g/日,Glycemic Indexに関する情報を食品交換表などの教材に収載する |
9)Raben A et al, 2001 非ランダム化比較試験 レベル3 | 正常体重非肥満,肥満後女性(18人).対象は非糖尿病者 | 高でんぷん食[59% carbohydrate(2%ショ糖)]vs.高ショ糖群[59% carbohydrate(23%ショ糖)] | 高ショ糖食では血糖上昇面積は高でんぷん食に比べ有意に小さいが,インスリンの上昇に差を認めない |
10)Bantle JP et al, 1993 非ランダム化比較試験 レベル3 | 2型糖尿病(12人) | 高ショ糖食(摂取エネルギー中19%ショ糖)vs.高でんぷん食(3%未満のショ糖) | 両食事下の血糖値はいずれの時点においても差を認めない.中性脂肪も空腹時,食後の頂値とも両食事において差を認めない |
11)McCargar LJ et al, 1998 RCT レベル3 | インスリン非依存型糖尿病(32人) | 高脂肪食(50% fat)群vs.高炭水化物食(55% carbohydrate)群 | 高脂肪食,高炭水化物食とも炭水化物・脂質代謝には影響しない |
12)Garg A, 1998 メタアナリシス レベル1 | 2型糖尿病 | 高脂肪食群と高炭水化物食群における脂質,炭水化物代謝の変動 | 一価不飽和脂肪酸の高脂肪食は脂質代謝のみならず炭水化物代謝も改善する |
13)Friedberg CE et al, 1998 メタアナリシス レベル1 | 1型,2型糖尿病 | 血清脂質,耐糖能に及ぼす影響 | 魚油は血糖コントロールには影響しない.しかし,中性脂肪を約30%低下させる |
14)Järvi AE et al, 1999 RCT レベル2- | 2型糖尿病(女性5,男性15)(計20人) | 高GI食(82.7±3.1U)vs.低GI食(56.8±3.6U)[各24日間] | 低GI食では血糖,インスリン反応は低下.血清脂質,線溶活性も改善 |
15)Giacco R et al, 2000 RCT レベル2 | 1型糖尿病(63人) | 低食物繊維食(15g)vs.高食物繊維食(50g) | 高食物繊維食群では長期(24週)間摂取可能で,血糖コントロールの改善と低血糖の頻度が減少した |
16)Qi L et al, 2005 コントロールを伴わない コホート研究 レベル4 | 2型糖尿病(780人) | 1986,1990,1994年における質問法によるGI算出,食物繊維摂取量算出,血漿アディポネクチン濃度測定 | 5つのランクに分けられた最も高いGI食群は最低のGI食群に比べ血漿アディポネクチンは13%減少した |
17)Ben G et al, 1991 非ランダム化比較試験 レベル3 | 2型糖尿病(121人) | 慢性アルコール摂取群(45g/日)vs.非アルコール摂取群 | アルコール摂取群では血糖コントロールが悪化した |
18)Turnbull PJ et al, 2002 症例対照研究 レベル4 | 65歳以上の2型糖尿病(35人)、対照(35人) | 栄養評価,ADL(日常生活動作)の評価 | 栄養評価,血清アルブミン,ADLスコアが糖尿病者において低値を示した |