(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
2.糖尿病治療の目標と指針
ステートメント
1.糖尿病治療の目標


糖尿病治療の目標は,糖尿病症状を除くことはもとより,糖尿病に特徴的な合併症,糖尿病に併発しやすい合併症の発症,増悪を防ぎ,健康人と同様な日常生活の質(QOL)を保ち,健康人と変わらない寿命を全うすることにある.
2.治療戦略


治療戦略は,糖尿病の病型,病態,代謝障害の程度により異なる.
- (1)インスリン依存状態ではインスリン治療を行う.インスリン非依存状態においても,妊娠時,全身管理が必要な外科手術,重篤な感染症の際にはインスリンで治療する.
また,経口血糖降下薬によっても血糖コントロールの目標が得られない場合はインスリン治療を行う. - (2)インスリン非依存状態においては,十分な食事,運動療法を2〜3ヵ月間行っても良好な血糖コントロールが得られない場合,経口血糖降下薬により治療する.代謝障害の程度によっては最初よりインスリンや経口血糖降下薬の薬物療法を食事療法,運動療法に加えて開始する.
3.慢性合併症の予防,進展抑制


糖尿病の慢性合併症の予防,進展抑制のためには,単に血糖コントロールのみでなく,肥満を解消し,血圧や脂質代謝のコントロールを目指す.また,禁煙を守る.
4.継続的治療・教育の重要性


慢性疾患である糖尿病において,合併症の発症,増悪を防ぐには,継続的治療は必須であり,患者教育は糖尿病治療の基幹をなすものである.